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IBC岩手放送

 
<ニュースエコー 2018年4月10日>

今年度、IBCは開局65周年記念事業として「いわてらしく、あたらしく。」をテーマに、岩手独自の新たな視点でこれからを生きるヒントを探るキャンペーンを展開します。そこでニュースエコーでは今年、2回にわたってお伝えしてきたシリーズ「人口減少社会の希望」をキャンペーンに連動させ、より深く、人口減少の問題を考えていきます。今回は学校の統廃合が進む中で地域と学校、子どもたちのつながりを大切にしようという取り組みをご紹介します。

西根小学校閉校記念碑
 先月18日、雫石町立西根小学校が144年の歴史に幕をおろしました。児童数44人。同じく先月閉校した上長山、下長山、2つの小学校と統合し、新しく「西山小学校」としてスタートします。

 西根小学校のPTA会長で、閉校記念事業の委員長を務めた櫻田一也さんです。祖父の代から自身の子どもまで4世代、西根小学校に通っていました。

 (櫻田さん)「地域の方々の西根小学校への思い入れが強く、存続させたいという思いが強かった。一年以上の歳月をかけて何回も話し合いを繰り返し、皆さんのご理解をいただいたので、地域の方々、先輩方に感謝の思いが大きいです」
櫻田一也さん
 西根小学校は1873年=明治6年5月、駒木野小学校として開校。開拓でこの地域に入植した元南部藩士らの影響もあり県内でもかなり早い開校でした。
 長年親しまれた「おらほの学校」。児童の父兄のみならず地域住民も学校行事に熱心に参加していました。式典の参加者からは閉校を惜しむ声も目立ちました。

 (卒業生の男性)「昭和34年卒です。う~ん、なんか残念な気持ちですね。本当に。やっぱり地域の横のつながりが少なくなっていくのではないかと思っています」
児童数は最も多い時期に比べ約4分の1に減少
 西根小学校に最も多くの子供が通っていたのは1958年=昭和33年の341人。ちょうど団塊の世代が小学生だった頃です。この頃、児童数は全国的に多く岩手県では23万6千人を超えていました。それから60年近くが経ち、2017年度の児童数は6万人あまりにまで減りました。最も多い時と比べておよそ4分の1です。そして、減少の度合には地域差があります。
児童数の減少には地域差が
 1959年度の児童数を100とすると、昨年度岩手県は25.5%に減少、雫石町は23.2%に減少と大きな差はありませんが、盛岡市は55.9%と減少の度合が低いことがわかります。そして、西根小学校の児童数を見ると13.1%とおよそ8分の1にまで減少しています。子供の減少は地方に行くほど深刻です。
PTA打ち合わせ会
 閉校による地域の衰退への恐れ。沢山の友達と学べることへの期待。様々な思いが交錯する中、長い歴史を刻んだ西根小学校の学び舎は静かにその役割を終えました。

 (PTA打ち合わせ会)「こんばんは~」

 西山小学校の開校式を2日後に控えたこの日、新しいPTA役員の顔合わせが行われました。懇親が目的ですが、話題は自然に子供と地域のことに集まります。

 (櫻田さん)「楽しみだなって言いつつも、下の子は人数が一気に増えますので、チョット緊張しているようで…」

 西根小学校のPTA会長だった櫻田さんは、新しい学校では副会長を務めます。閉校した西根小学校の学区と新しい西山小学校のつながりが薄くなるのでは、と心配しています。

 (櫻田さん)「いろいろ各地区のやりたいことも、去年までやってきたことがあると思います。全部やるわけにはいかないんですが…」

 この日の集まりには、高齢化やコミュニティの維持など地域課題について考える「西山地区地域づくり会議」のメンバーも参加していました。席上、地域づくり会議からある提案がありました。

 (櫻田さん)「地域から学校がなくなると地域が廃れる、子供たちとの交流の場がなくなる。やっぱりあの運動会、地域と子供たちが一緒にやるという習慣が今まで続いている西山の強みを生かしてですね」
地区民運動会の様子
 提案があった「あの運動会」とは、「地区民運動会」といい、学校の運動会の後、同じ日に開かれる地域住民と子供が一緒に参加する運動会です。地域と学校、子供の絆を強める絶好の機会となっていました。住民アンケートでも統合後も地区民運動会の継続を望む声が多かったのです。

 (櫻田さん)「小学生が3倍になると、終わるのが3時になる。そのままにやれば絶対にそうだし」

 (参加した男性)「例えば上小だけ西根小だけ、下小だけで今までやっていれば集落の数が少ないんですよね。西山の集落を対抗させるといえば、出来て1種目ですよね」

 統合により、児童数に加え行政区の数も3倍になる中、学校の運動会と地区民運動会を両立できるのか、様々な意見が出されました。PTAは2つの運動会を同じ日に開催出来るようプログラムの時間配分を検討して欲しいと学校に要望することにしました。そしてこれまでの習慣を大切にしたこんな意見も。

 (男性)「あの、何つうのかな?子供たちと3世代が揃って、反省会を公民館でやるのがすごい大好きで。それが多分なくなる行政区がでるんだよ、きっと。何かどうなんだろうって」

 (櫻田さん)「行政区単位であるとそれが発生する可能性があるんですよ。子供を交えて、地区でも行政区でもいいので、交流が去年と同様に楽しかったね、と…」

 学校がなくなっても、地域と子ども達のつながりをどのように保ち続けるか?住民でもあるPTAの議論は夜遅くまで続きました。
開校した西山小学校で学ぶ児童たち
 今月7日、開校した西山小学校に148人の児童の姿がありました。

 (子ども)「沢山の友達がいて楽しい」

 初めて披露された西山小学校の校歌。閉校した3つの小学校それぞれの地域で親しまれるよう共通のシンボルが歌詞に込められていました。

 同じ頃、閉校した西根小学校はひっそりと静まりかえっていました。最も多かった頃から4分の1にまで減った岩手の小学生。今後もその減少には歯止めがかからない予測が出されています。子どもが減り続ける一方で、将来に向けて地域を愛する気持ちを育もうという取り組みが行われています。地方での、地域と子供を「つなぐ」試行錯誤が続いています。
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