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<ニュースエコー 2018年1月30日>

ニュースエコーでは、これから一年を通じて、高齢化と人口減少が進む一関市の大東町京津畑(だいとうちょう・きょうづはた)地区を取材し、人口減少社会の希望をシリーズで探っていきます。この地域は去年、高齢化率が50%を超え、限界集落となりました。一方で京津畑地区は地域おこしの様々な独自の取り組みを進めています。1回目は、京津畑地区の現状と可能性です。

大東町京津畑地区
 一関市北部にある大東町京津畑地区。奥州市との境にある山間に48帯120人が暮らしています。去年65歳以上の高齢者の割合が初めて50%を超え、限界集落となりました。児童数の減少で2006年に閉校した京津畑小学校を活用した交流施設「山がっこ」です。地域の拠点であると共に、大学生が研修で宿泊するなど都市部との交流拠点にもなっています。1月3日、恒例の新年会が開かれました。

 (新年会のにぎわい)

 京津畑地区は地域の食材を活かした食品の製造販売を行う「山あい工房」が中心となり、地域の伝統食を住民が持ち寄る「食の文化祭」を開催するなど食を通した地域活性化に取り組んでいます。

 こうした取り組みが評価され、2012年には農林水産省の「食と地域の絆づくり優良事例」に全国24団体の一つとして選ばれました。高齢化は進むものの、活気ある集落として注目を集めています。
伊東光浩さん
(伊東光浩さん)
「そこに静江先生がいるんですけども、俺があそこの僻地保育所にうんこ洩らしながら行ってたことを鮮明に覚えてるんですよね (今でもだべ、笑)」

 新年会の席上、年祝いの挨拶をする伊東光浩さん、59歳です。地域の若手の交流会「あおぞら会」結成時のメンバーで、京津畑神楽、消防団、自治会など、地域の担い手として様々な役割を果たしてきた中堅メンバーの一人です。


(伊東さん)
「今朝、起きてすぐに昔の資料を見ると、平成20年にここに160人ちょっとの人口があったようですけど、今はもう120ちょっとくらい。とっても恐ろしいことで、残念で」

 お祝いの席ですが、集落の将来への不安が一気に噴き出します。

(伊東さん)
「いずれ何をするにも人の頭数がすごく大事なので。これは、限界集落だから皆の心意気とか思いと言って頑張ったって、やっぱり限界があるのかなと。あまり暗い話はしたくないんだけど、こういった現実を踏まえながら自治会活動を続けたいと思います」

 地域の担い手として、役割を果たしてきたからこそ飛び出す本音。その不安は、集落の皆が共有する確固たる現実です。
京津畑と全国の人口分布比較
 京津畑地区の5歳刻みの年齢分布を全国の傾向と比べてみました。団塊の世代が含まれる60代後半が最も多いのは全国の傾向と変わりませんが、次に多いのは80代後半で、80代前半と50代前半が続きます。第2次ベビーブームを含む40代前半は4人しかいません。20年後、現在、地域の担い手として中心になっている60歳前後が後期高齢者になる頃、地域を担うはずの世代はわずかしかいなくなります。

 (卒業アルバム見ながら)

 自治会長の伊東鉄郎さん、63歳です。小学校の同級生20人のうち京津畑に残っているのは伊東さんただ一人です。

 (伊東鉄郎さん)
「中学卒業してからだから、15か16歳。関東の方が多いです。『金の卵』と言われた時代、昼働いて夜学校という条件で縫製会社に勤めた人たちもいますし。」
県人口と社会減の推移
 1950年代から70年代にかけて続いた「集団就職」。県内への転入から県外への転出を引いた人口の社会減は、統計が始まった1962年からほとんど1万人を超え、出生から死亡を引いた自然増を上回り、県の人口は減り続けました。人口減に歯止めがかかったのはオイルショックがあった1974年。その後、バブル景気に沸いた1986年から92年にかけても岩手県の人口は減少。都会と地方の経済格差は人を都会に吸い寄せ続けました。

 岩手でも1999年からは出生数を死亡数が上回り、遂に人口の自然減が始まりました。今ではかねてからの社会減に自然減が加わり人口減少に拍車がかかっています。
一関地域の食を紹介するイベント
 上空に強い寒気が入った1月24日。京津畑交流館「山がっこ」に自治会長の伊東さんと山あい工房のメンバーが集まりました。今月20日に東京で行われた、一関地域の食を紹介するイベントの報告会。伊東さんは京津畑の代表として、首都圏の消費者に山あい工房の活動や郷土食を紹介しました。

 (伊東鉄郎さん)
「この元気なお母さんたちです(笑)ネットで調べて参加したと。『いいところですね。泊まれるんですか?』と聞くので、『泊まれますよ』と」
来たるべき社会に相応しい新しい価値観とは
 首都圏の人たちに、自分たちが作る食品や自分たちの地域がどのように映ったのか?自分たちの食を通した活動が交流人口拡大につながらないか。限界集落・京津畑では、世代を問わず誰もが貴重なプレーヤーです。

 刻々と進む高齢化と人口減少に対応しようと、人々が必死に可能性を模索しています。環境の激変を防ぐ対策と地域を強くする人と人の繋がり。そして、来たるべき社会に相応しい新しい価値観とは?限界集落、京津畑の取材を通して人口減少社会の希望を探っていきます。
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