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復興支援のため眼科の医療機関が少ない岩手県釜石市に遠く石川県から毎月、通い続ける医師がいます。多くの白内障の手術を手掛け、被災地の人々に見える喜びを取り戻してほしいと願う医師を取材しました。

 釜石市の釜石のぞみ病院です。土曜日の夜車から一人の医師が降り立ちました。足早に向かった先は眼科の診察室です。

「お疲れ様です」
「はいお疲れさん」
(記者)
「釜石までどのくらいかかりました?」
(佐々木洋医師)
「7時間くらい」

 石川県の金沢医科大学で眼科の教授を務める佐々木洋医師です。佐々木医師は白内障の研究と治療で日本をリードする第一人者です。到着すると休む間もなく白内障の治療を希望する患者のカルテのチェックを始めました。患者は釜石だけではなく大槌町や山田町からも訪れます。すべて佐々木医師による白内障の手術を待っていた患者です。

 佐々木医師は石川県から月に一度、週末を利用して釜石を訪れています。東日本大震災の翌年2012年の6月から欠かさずに通い続けて今年で9年目となりました。金沢医大は震災前から釜石のぞみ病院に内科医を派遣していて、震災後、病院から眼科医の派遣も打診されたのがきっかけでした。

(佐々木洋医師)
「白内障の手術をやってる施設も(被災して)手術が出来なくなったとかお聞きして」
「白内障で視力をあきらめている方もたくさんいらっしゃると聞きましたので、そうであれば僕らこちらで十分貢献できるかなと思いまして」
釜石のぞみ病院で3,500件以上の白内障手術を行った佐々木洋医師

被災地では眼科の診察を受けることが困難だった…



白内障は、眼球の中でレンズの役割を担う水晶体が濁りものがぼやけて見えたり光が異常にまぶしく感じたりする病気です。高齢者に多く手術を希望する人のほとんどが70代から80代です。佐々木医師が釜石を訪れた2012年当時、被災地では、避難生活や不自由な仮設住宅での暮らしが人々の健康に大きな影響を及ぼしていました。


(佐々木医師)
「最初の頃は仮設に入っている方もたくさんいらっしゃいましたし、仮設にいながら目が見えない状態で暮らしていることで認知機能がすごく落ちてくる。そうすると仮設にいるお年寄り達が、どんどん認知症の方が増えていると聞きました。実際、手術をすると見えるようになると目の輝きが違いますし、みなさんすごい元気になる」

 もともと眼科の医療機関が少ない釜石市では、白内障の手術は内陸部の病院に泊りがけで行くことが多く、患者や家族は大きな負担を強いられてきました。佐々木医師がこれまでにこの病院で行った白内障の手術は、3500件以上。被災地の人達に見える喜びを取り戻してきました。

 (釜石のぞみ病院 葛西款院長)
「佐々木先生自身が震災の復興のために手術に来たいというはっきりした目的があったので、そういった意味でかなりいい医療を提供できるようになった」
手術を行う佐々木洋医師(釜石のぞみ病院 提供)

これからも被災地に寄り添いたい



日曜日、手術は朝早くから始まります。濁った水晶体を取りのぞき直径6ミリほどの大きさのレンズを入れて固定します。一人にかかる時間は平均でわずか8分。総勢15人のスタッフチームが、息の合った仕事で佐々木医師を支えます。佐々木医師はこの日担当する37人の手術を午前中に終わらせました。


(佐々木医師)
「看護師さんたちがすごく優秀で、僕はただ手術してるだけなんで周りの人がすごい良く回してくれるんでこれでスムースに出来ているんですね」

 手術は日帰り、翌日には眼帯が外されはっきりと見ることができるようになります。

(患者)
「保険がきいて日帰りでこんな素晴らしいことってないなって本当に嬉しいです」
「孫の顔もぼやけてはっきり見えなかった家の中とか子供孫の顔をはっきりと見たいです」

(佐々木医師)
「せっかく見えるようになったんで、その目を大事に使っていただいて本当に生活しやすくなると思いますから生活に質ってものすごく上がるんですよ。ですから白内障手術っていい手術ですからぜひ少しでも見ずらい方は、早めに眼科にいらしていただいて治療されたらいいと思います」

 石川県から岩手の被災地に「見える喜び」を届けて9年目。佐々木医師はこれからも出来る限り、被災地に寄り添い続けたいと考えています。
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