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旬を迎える三陸のホタテが、「貝毒」の影響を受けています。岩手県内の多くの海域で出荷ができず、復興に向かう漁家や飲食店の苦悩が続いています。浜の現状を取材しました。

 山田町大沢で3代にわたって養殖漁家を営む中村敏彦さんです。東日本大震災の津波で自宅や作業場を失った中村さん。おととし作業場を再建しインターネットを活用したカキやホタテの通信販売に力を入れてきました。

(中村さん)
「これから夏にかけて出荷するホタテですね。今だいたい12センチくらい。山田のホタテが一番おいしいと言ってくる人もいるので、カキとともに大事な存在ですよね。」

 山田湾内にある中村さんの養殖棚には立派に生育するホタテの姿がありました。

(中村さん)
「貝柱はめちゃくちゃでかいです」

 産卵後に貝柱が大きくなるこの時期はまさに旬と言えますが、現在、このホタテを出荷することはできません。

(中村さん)
「食べごろです。悔しいですよね。一番おいしいときに出せないので」

 出荷ができない理由。それは「貝毒」です。貝毒は文字通り貝の毒のことで国内では体のしびれの症状が出る「麻痺性貝毒」と下痢や腹痛の症状が出る「下痢性貝毒」が確認されています。国の基準を超える貝毒が検出された場合、その海域で採れるホタテなどは出荷が規制されます。

 県漁連は沿岸部を12の海域に分けて検査を行っていますが、きのう現在、12のうち宮古から南の8つの海域で「麻痺性貝毒」が基準値を上回っていて出荷ができない状況です。
今が旬のホタテなのに「貝毒」で出荷規制が続いている

ホタテは、今が出荷の最盛期なのに…



 猛威を振るう貝毒…その発生メカニズムについて専門家は…。

(県水産技術センター・武蔵達也部長)
「プランクトンの中には毒を持つタイプがありまして、ホタテやカキとかがエサとなる貝毒プランクトンを食べることで体内にプランクトンが持っていた毒が蓄積していくことで貝毒が発生します」

 しかし、毒性のプランクトンが増える仕組みは解明されておらず、収まるのを待つしかないのが現状です。

 中村さんが漁業を営む山田湾も貝毒によって先月2日からおよそ1か月にわたり出荷規制が続いていて、5月末時点の水揚げは去年の20トンから大幅に減少し、今シーズンはわずか3トンにとどまっています。出荷再開の時期がいつになるのか、中村さんは気をもんでいます。

(中村さん)
「大きくなりすぎると今度は値段も高くなっちゃうので。震災前は1枚100円だった。震災後は200円。それが大きすぎちゃうと300円になるとみなさん『えっ』となる。やはりちょうどいいサイズがある」

 これからの時期、ホタテはお中元やバーベキュー用として引き合いが多く、書き入れ時を控えていました。

(中村さん)
「5月すぎるとカキの以来よりもホタテの依頼がほぼなので、その電話のたびにお断りの電話なので残念でしかないです」
地物を扱う割烹料理店の生簀もカラに…

地元の海産物を売り物にしている飲食店にも影響が



(山田町で割烹料理店を営む横田博安さん)
「イケスなんですけれどもこの通り何もなくなってしまって」

 ホタテの出荷を心待ちにしているのは漁家だけではありません。山田町で割烹料理店「山田魚河岸」を営む横田さんです。こちらの店は震災で被災後盛岡に移転。およそ3年を経た2014年に故郷・山田町で復活しました。売りは地元で採れる海産物。特に、焼きホタテは人気メニューでした…。しかし、貝毒による出荷規制の影響で今は提供を断念しています。

(横田さん)
「地元のものを本当は提供したい。それがうちらの気持ちだしお客さんだって山田のものだっていう安心感がある」

 横田さんは新型コロナウイルス対策のための移動自粛の全面解除を受け、県外からの観光客が多く訪れると期待した矢先での貝毒の発生に悔しさをにじませます。

(横田さん)
「沿岸山田に来てホタテの貝焼きがないというのは苦しい」

 自慢のホタテの出荷再開を待つ中村さん。

(中村さん)
「貝毒だけは勘弁ですよね。山田湾はなかなか出ない地域だった。今回貝毒になってほかの地域の気分を味わった。これほどつらいものはない。順調に出荷できればいいなと思います。ホタテで皆さんが笑顔になってくれれば何より」

 先行きの見えない状況への不安…。それでも消費者の笑顔を想い続けながら海を見つめます。
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