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新型コロナウイルスによる緊急事態宣言で県内の飲食業をはじめ、多くの事業所でも影響が出ています。東日本大震災での被災から立ち上がり、新しいまちを盛り上げようと奮闘してきた岩手県陸前高田市の飲食店の店主もそのひとり。苦境に立たされながらも店を守り続ける姿を取材しました。

 東日本大震災による津波で甚大な被害を受けた陸前高田市です。震災発生から9年2か月。大規模なかさ上げ工事を行い、中心市街地の再建を進めてきました。

(安倍総理)
「7都道府県から全都道府県に拡大いたします」

 全国に拡大された緊急事態宣言。人々は外出を自粛。ゴールデンウィーク期間中も、まちの中心部は静まり返っていました。その一角にある人気の居酒屋「俺っ家(おれっち)」も緊急事態宣言が全国に拡大された先月16日から臨時休業に入りました。カウンターにイスが乗せられたままの店内で仕込みをしているのは、店主の熊谷浩昭さんです。

(熊谷浩昭さん)
「テイクアウト用の仕込みね。うちは紅葉漬っていう商品を季節になると問い合わせがあるんで」

 サケとイクラを秘伝のタレに漬け込む人気の一品「紅葉漬」は、本来、地元に水揚げされたサケを使って作る秋から冬にかけての季節限定商品。今は千葉県から仕入れた養殖のサケを使い、同じく人気商品のホルモンとともに通信販売や店頭販売を行って臨時休業中を凌いでいます。

(熊谷さん)
「いつまで…逆にいつまで休んだらいいんだべなっていうのが。聞きたい方だな、こっちは」

 国内での感染症拡大というかつてない苦境。熊谷さんも不安に駆られます。

(熊谷さん)
「今までの人生の中での最大の危機かもしれないな」

 熊谷さんは27歳で「俺っ家」を創業。街で評判の人気店に成長しましたが…。

~東日本大震災~

「店のカタチは分かる」
「何も残ってない。流しも調理台も」
「それは無理だべ…」

 2011年、津波で店は全壊。いち早く再建したいと熊谷さんは内陸に移り住み、その年の6月、盛岡市で復興ののろしを上げました。それから6年の歳月が流れ、陸前高田市へ戻ることを決意。かさ上げされた中心部に念願の本設店舗を再建したのです。店は市民だけでなく県外から復興事業などで訪れた人たちにも愛され、順風満帆でしたが…
緊急事態宣言を受けて店は臨時休業

コロナウイルス~こんなことが起きるとは夢にも思わなかったが


(熊谷浩昭さん)「3月入ってすぐにですね、コロナウイルスがっていうことで一気に客足が落ちたんですよね。まぁだから9割がた減。開けても来ないっていう日が続いたので」

 先月9日からランチ営業に踏み切るも、緊急事態宣言の全国拡大を受けてその日から店は臨時休業。テイクアウトと通信販売で糊口を凌ぎます。

「えーとね、紅葉漬と」
「はい、いらっしゃい」
「あと塩と味噌」
「塩と味噌、両方?」

(来店客)
「はい」
「またお店で食べられるのを楽しみにしながらちょっと今回、家で楽しみたいと思います」
「やっぱ大変だと思いますよね。なんとか乗り切って頑張ってもらいたいと思いますね」

 本来なら稼ぎ時のゴールデンウィークの真っただ中、熊谷さんは自宅でひとりテレビを見つめていました。

(安倍総理)
「緊急事態宣言の実施期間を5月31日まで延長することといたしました」

 緊急事態宣言の期間延長を聞く熊谷さんの胸の内は複雑です。

(熊谷さん)
「今ここでこんなことが起きるのは本当に夢にも思わない」

 果たして今後、店は再開できるのか、自粛は続けるべきなのか。先が見えない中ですが、ぶれない気持ちもあります。

(熊谷さん)
「でもここで生きていくということを決めてこの陸前高田に戻って来ているので覚悟はゆるぎなく、夜のまちにまた灯りを灯すっていうのが今の使命だと思ってます」
営業再開を待っていた人たちが早速やってきた

感染症と戦いながら店を守り、被災地にあかりを灯し続ける


「はい、いらっしゃいませ。3名様、どうぞ」
 12日、およそ1か月ぶりにランチ営業を再開、店には多くの人が訪れました。

(来店客)「非常においしかったです、はい」
「なんかホッとしますね。やっぱりコロナがあったんでずっと食べられなかったんで。やっぱり知ってるところでこうやってお邪魔して食べられるっていうのはホッとするし」

(熊谷さん)
「待っててくれたお客さんきょう来店してくれてね。とても本当に安心感もあるし。だけどちょっと気を引き締めつつ
これからも営業しようかなとは思ってますけどね」

 しばらくはランチ営業でしのぎ、週明けの19日から時間を短縮して夜の居酒屋営業を再開することを選択した熊谷さん。感染症と戦いながら店を守り、被災地にあかりを灯し続けるため、決意も新たに前を向きます。
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