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東日本大震災と去年の台風19号、二度の被災から先月20日、全線で運行を再開した三陸鉄道。再開からまもなく4週間となる中、新型コロナウイルスの影響で再び苦境に立たされています。こうした中、カギを握るのは地元の高校生の存在です。

 三陸鉄道の事業本部長、村上富男さん。険しい表情で見つめるのは営業数字です。三陸鉄道は東日本大震災で甚大な被害を受けたものの、わずか3年で全線で運行を再開。去年3月には、JR山田線の宮古・釜石間の経営を移管され、リアス線として新たに生まれ変わりました。

 その後、去年の台風19号で被害を受け、一部区間で運休となりましたが今年3月20日、再び全線での運行が叶いました。震災からの全面再開、宮古・釜石間の移管によるリアス線開業を合わせると実に3度目の全線再開となります。しかし今回は・・・。新型コロナウイルス感染拡大防止のため状況は全く異なりました。華やかなイベントなどは軒並み中止。全国からの観光客もパタリと止まりました。

(村上富男さん)
「三鉄の開通フィーバーというのが昨年の4月からあったので、その部分に関しては観光で来られた方が多かったですね。今はどうしても動けないというのが正直なところですね」
三鉄社員が高校の入学式会場で定期券を販売=岩手県宮古市

新型コロナで全国から観光客を呼べず…通学利用の高校生に利用を働きかけ


 全線開通しても全国から観光客を呼び込めない現在の状況。そうした中、頼みの綱となるのが日々、通学で利用する地元の高校生の存在です。


 今月9日、旧宮古商業と旧宮古工業が統合して誕生した宮古商工高校の入学式が行われました。高校再編を受けて誕生した新たな高校では商業系の学科の生徒は磯鶏駅に近い旧宮古商業へ、工業系の学科の生徒は津軽石駅に近い旧宮古工業の校舎に通う、「校舎制」を導入します。新入生158人は三陸鉄道にとって重要なお客様でもあります。

(橋上和司さん)
「宮古地区の場合は山田町の方々が一番多いと思います。3月に繋がった織笠、岩手船越あたりの方も非常に多くてですね。宮古市内は田老の駅から宮古に通学する子供さんが多いですね」

 昨年度、定期を使って三陸鉄道を利用したのは2月までで49万7千人余り。全乗車人員の半分以上を占めました。観光客が期待できない今の時期、新学期を迎えた高校生たちに今まで通り三陸鉄道を利用してもらえるかどうかは死活問題です。この日は入学式に出席した保護者に対して11枚の定期券を販売しました。

(保護者)
「宮古から津軽石まで。大変重要ですね。あれないと困るものね自転車だと大変だし」
「ずっと磯鶏まで、私も乗ってたんで3年間。貴重だと思います。友達と一緒に乗ったり話したりしながら、通うのは大事なことだと思うのでとても頼りにしています」

 三陸鉄道は今月に入ってから10日までで438枚・1280万円余りの定期券を販売。昨年に比べると400万円ほど下回っていますが、それでも貴重な収入源です。

(村上富男さん)
「地元の方々に定期で乗っていただけるのは大きな収入になります。一番、安定した収入になるので、そういうところはありがたく思っています」
三陸鉄道・吉里吉里駅付近(岩手県大槌町)

震災や台風被害を乗り越えてきた三陸鉄道…改めて地元に目を向けた取り組みで前へ


朝、7時半すぎ、三陸鉄道とJRの宮古駅にはリアス線の上りと下り、そしてJR山田線が相次いで到着します。

(高校生)
「山田から来ているので宮高生だなっていうのを実感しました。列車内では一応、持ち物の確認をしたり課題を終わらせたり少し寝たりしています」

「やっと戻ったって感じ日常に。今の方がよっぽど楽です」

 これまで以上に「地域の足」としての存在感が際立っています。

(中村一郎社長)
「当面、地元の皆さんにしっかりご利用いただけるような取組み。高校生の通学等もスタートしますので、そういった皆さんにもご利用いただけるようにしますし」

 新型コロナウイルスの感染拡大と行動自粛によって先が見通せない中、3度目の全線再開を迎えた三陸鉄道。震災に、台風、度重なる苦難も乗り越えてきた鉄路で、再び足元に目を向けた地道な取り組みが続けられます。
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