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東日本大震災の被害を受けた岩手県沿岸の被災地では、復興が進む一方で暮らしの足を支えるバス路線の存続が厳しい局面に立たされています。復興事業として行われてきたバス路線への国の補助事業が2年後に終了する見通しとなり、その後の公共交通の確保が大きな課題になっています。

 釜石市の小川町です。7日、地区の集会所でバス路線の存続について話し合う市とバス会社と住民の三者による懇談会が開かれました。去年10月、バス会社から釜石市に対して「利用者の減少」を理由に小川町へのバスの運行を「今年度いっぱいで廃止したい」と申し出がありました。これに対して住民からは強い反対の声が上がりました。

(住民)
「車の免許証の返納もある。そういう方を考えてください。いつかはあなたたちも車を持てなくなります。そのときはバスもない、買い物にも行けない」
「私は後期高齢者です。本当に困っています。悩んでいます!」

 国は東日本大震災の復興事業として、仮設住宅の被災者の生活の足を確保するため仮設住宅を通る路線に限り、被災自治体に対して路線バス運行への補助事業を実施しました。その額、年間3千5百万円。釜石市は国の補助金を頼りにバス会社に運行を委託してきました。

(釜石市生活安全課・和賀利典課長)
「仮設住宅が内陸部郊外の方にあったのでバスを多くの方が使っていただいていたので多くの利用があった収入があったということだと思う」
バス廃止後に釜石市が委託運行している車両の運行費用は、大幅な赤字

運賃収入の低下、バス運転手不足から不採算路線の廃止へ


 ところが、「住まい」の復興が進み仮設住宅の住民が減ったため国の補助事業は来年度を最後に終了する見通しが示されました。運賃収入だけで路線を維持することは困難で、バス会社は路線の廃止を決断せざるを得ませんでした。

(利用者)「廃止は困るね…」
「私は車運転しないし、バスだけ。昔から。小川行きというバスがあったのでここに移住した」

 震災後、津波が来ない小川町に家を再建した被災者も少なくありません。バス路線が廃止されると、震災後に移り住んだ人たちの暮らしにも影響が及びます。バスの運転士の成り手不足や高齢化の問題も抱える中で、バス会社は収入が見込める幹線沿いの路線に経営資源を集中したい考えで、去年6月、利用客が少ない釜石市の4つの路線を廃止しました。

(岩手県交通釜石営業所・那波精悦所長)
「利用者が少ない路線は他の交通手段に変えていただいて、私たちは基幹路線と呼ばれる部分を持続して。そっちが無くなってしまうとそれこそ大変になってしまうので、基幹路線を大事にしていきたい」

 バスが廃止になった4つの路線では、釜石市が市内のタクシー会社などに委託して9人乗りの車両を運行しています。4つの路線合わせて年間およそ2万5千人の利用を見込んでいますが、運行にかかる費用6千万円に対して運賃収入は500万円あまりで、差額のおよそ5千5百万円は市の負担です。市は国の補助事業の終了も見据え、負担を軽減するため「土日や祝日の運休と経費の削減を検討する」としていますが、軽減策の実施は利用者にさらなる不便を強いることになります。
バス路線の維持は地域の大きな課題

バス路線の維持について解決策は見いだせていない



(利用者)
「朝一番は(バスが)ないと。病院に行くにも何をするにも。(車がある)息子やお父さんはいるけど、普段は仕事をしている。(バスがなければ)土日も何もできない」

 公共交通の存続のために市は市民にも協力を呼びかけています。

(釜石市生活安全課・和賀利典課長)
「今バスを使っていない、鉄道を使っていない方についても、休みの時に利用してみようかとか、普段使いできょうはバスでまちに出ようかというような形で使ってもらうことが大事だと思います」

 震災によってまちから若い世代が流出して高齢化に拍車がかかる中、公共交通の必要性が高まっているにも関わらず、バス路線の維持は年々困難になっています。将来の公共交通の在り方をどうすべきか?地域に暮らす人すべてに関わる問題ととらえる必要があります。
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