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津波によって流出した写真などの思い出の品。岩手県陸前高田市では今も7万点余りの品々が持ち主を待っています。返却は続けられていますが震災から8年が過ぎ、活動は転換点を迎えています。

 7月22日、午前9時半。北上市総合福祉センターの広間に次々と大きな箱が運び込まれました。陸前高田市で津波によって流出し、拾得物として集められた写真や物品といった思い出の品の返却事業を行っている「三陸アーカイブ減災センター」による出張返却会です。ふるさとを離れて暮らす被災者のために、多いときには月に5回以上、県内の内陸部だけでなく宮城や東京でも開催してきました。

「みんなデータ化しているのでパソコンで見てもらっています」

三陸アーカイブ減災センターの代表理事・秋山真理さんは、震災直後から返却事業に携わってきました。

(秋山さん)
「例えばもう家の土台しかなくて、もうあと何か出てくるとすれば思い出の品しかない、これしかないんですと、かなり力を込めて言われることもたくさんある」

 この日も、開催を待っていた人たちが次々と会場を訪れ、家族や知人の写真がないかとパソコンの画面に見入っていました。中には昼食を持参し、朝から夕方まで一日をこの場所で過ごす人もいると言います。
思い出の品の常設返却会場=岩手県陸前高田市竹駒町

ふるさとを離れて暮らす被災者のために…


 こちらは陸前高田市竹駒町にある思い出の品の常設返却会場です。部屋の中には今も持ち主を待つ写真およそ6万9000枚、物品およそ2700点が保管されています。

(秋山さん)
「特徴的なのがこの布袋様とか神様。漁師さんのお宅がたくさんあるので、神棚に上げてあったり、大きいものは床の間に」

 野球ボールや、グローブ、ひな人形にランドセル。かつて生活の中の一部にあったであろう品々からは持ち主の息吹を感じます。今も月に100人ほどが訪れますが、ここまで足を運ぶことが困難な人も多いため、各地での出張返却会が行われています。

「あ~見つかった一枚」

 北上市の出張返却会で身内の結婚式の写真を見つけたのは、陸前高田市高田町で被災し、現在は北上市内に住む佐々木敏さん・トシ子さん夫妻です。

(佐々木トシ子さん)
「やっぱりうちでもみんな流されたので、子どもたちの小さい時の全部流されたので、それで見つかるかなと思って」

同じく高田町で被災し、現在は奥州市在住の菅野ワカ子さんは孫と姑、それぞれの姿が映った写真を見つけました。

(菅野さん)
「やっぱりね思い出されます。いろんなことがね。(写真が見つかると)うれしいし、悲しい分もあるし」
保管品の返却だけでなく、風景写真などを共有し故郷を記憶にとどめる

失った大切なものや生きた証を写真で共有


 写真を見つけられた人がいる一方で、時が経つにつれて限られたものの中から思うように見つけられない人も多くでてきています。

(秋山さん)
「探してまったく見つからない方、それからもっと探したい方。そういうニーズにこたえるためには、逆に集めることに舵を切った」

そこで三陸アーカイブ減災センターでは、今月から新たな活動として被災をまぬかれた陸前高田市内での集合写真や昔の風景写真を募集。集まった写真やデータをデジタル保存し、希望する人には印刷して、渡すことにしたのです。

(秋山さん)
「七回忌を過ぎてそれでようやく探す気持ちになれる方とか、やっぱり人によって探したいと思うタイミングが違う。探したいと思ったときに探せるような、そんな環境は必要だと思っている」


 震災から8年4か月。思い出の品返却事業は、保管しているものを全て返し終えるというゴールだけを目指すのではなく、失った大切なものや生きた証を写真という形で共有し、被災者の心に寄り添い続けるという長期的な活動へと変化しようとしています。
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