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岩手県宮古市八木沢地区でカモミールやミントなどのハーブを育てている女性がいます。震災後、ハーブ園として起業し、ハーブの香りをいかした商品開発を通して訪れた人たちを癒しています。

 宮古駅から車で10分ほどの宮古市八木沢地区。住宅も多いこの地域に大きな畑が広がっています。植えられているのはおよそ50種類のハーブです。古舘富士子さん(61)。20年以上前に自宅敷地内の畑でハーブを育て始めました。

「6月の頭から咲き始めて今2週間」
「これが全部カモミール?」
「そうですね、はい」

 今は多くのハーブが花を咲かせる最盛期です。白い可愛らしい花が特徴のカモミールは花の部分を摘み取り、乾燥させてハーブティーにします。

(古舘さん)
「このカモミールがリラックス効果、心を落ち着かせる効果があるのでこれは欠かせない。ハーブティのブレンドのなかに入れています」

 古舘さんは5年前に「潮風のハーブ園」として起業し、ハーブティーの製造・販売をしています。すべて手作業でつくるハーブティーは好評で沿岸はもちろん、盛岡・東京と取扱い店も増えているほか、菓子店に原材料としてハーブを提供することもあります。
ハーブ園のそばを走る三陸鉄道と建設された災害公営住宅(右奥)=岩手県宮古市八木沢

癒しの場として…ハーブをいかした空間


「ここでハーブをつくる良さは?」

「起業してからわかったのは、山と山のあいだの通り道をミネラルを含んだ風が来る。乾燥させるのにも適している。潮風のハーブティーというのが本当にピッタリなんじゃないかと今になって思います」

 古舘さんがハーブで起業を決めた理由のひとつが東日本大震災です。当時、山田町の漁協で働いていた夫の治美さんは津波で帰らぬ人となりました。震災後、海からおよそ5キロ離れたこの八木沢地区では住宅の建設が進み、潮風のハーブ園のすぐそばにも災害公営住宅が建ちました。

(古舘さん)
「震災後はここを宅地に貸してくれという話もあったけどこの環境を守りたいという思いが強かった。震災後癒しの場が絶対必要となってくるんじゃないかと思ったのが(起業した)きっかけ」

 ハーブをいかした癒しの空間をつくろうと古舘さんはハーブティの販売の他、ハーブを使った石鹸やリース作りなどの体験も始めました。被災した人たちやボランティアで訪れた人たちが体験に訪れると口コミなどで広がり、去年1年間の受け入れ人数は過去最高を記録。起業した当初に比べ4倍以上の428人にもなりました。
時間の許す限り訪れた人をもてなす古舘さん

笑顔を広げるハーブ園


取材をしていると一組の夫婦がやってきました。仙台からでした。

「旅のお供にローズマリーどうぞ」
「いいんですか?うちのは摘むとこんなに(小さい)はぁ、いい香り…」

インターネットで取り寄せたハーブティーを飲んだことをきっかけに、潮風のハーブ園を見てみたいとやってきたそうです。

(仙台からの客)
「とてもさわやかでいい香り。なかなか近所で売っているわけではないので大切に飲んでいた。きょう作っているところをみてフレッシュなところを見ることができて楽しい」

このようにふらっと訪れる人も多い潮風のハーブ園。古舘さんも時間の許す限りハーブティーを振る舞い、もてなします。

(古舘さん)
「ほとんどの方が笑顔で帰って手を振って帰っていく。来てよかったと言ってもらえる。その言葉を聞けただけでやっててよかったと思う」

 海からの風を受ける潮風のハーブ園。訪れた人の心を安らげる癒しの空間をつくろうと、古舘さんはきょうもハーブの手入れに励みます。
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