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岩手県を走る三陸鉄道リアス線の全線開通から間もなく2ヶ月。沿線住民は、走る列車の姿にそれぞれの復興の日々を重ねて見ています。再開したマイレール同様に、地域に愛される存在である理容店の店主たちが、三陸鉄道へ思いを寄せました。

(三陸鉄道釜石駅)
「記念の乗車券、乗車証ありますので皆さんにお渡しします」

 三陸鉄道の釜石駅に集まっていたのは、釜石と大槌の理容店で作る組合の人たちです。これから貸し切りの列車の中で組合の総会を行います。理容組合始まって以来の列車の中での総会は、ある組合員の提案で実現しました。

(鵜住居カットハウス小林・小林誠一さん)
「毎日三鉄眺めていますよ」

 釜石市鵜住居町で100年続く理容店の3代目、小林誠一さん(74)です。「三陸鉄道の貸し切り列車で組合の総会を行う」というユニークな提案したのは、小林さんでした。

(小林さん)
「開通すると間もなく久慈まで乗ってきましたが、岩手県は広いですね」

 津波で全壊した店は去年6月に再建しました。しかし鵜住居のまちは住む人が減り、空き地が目立ちます。震災前から店の傍を通る列車の音を聞いて育った小林さん。今年秋にはラグビーワールドカップの試合も行われる鵜住居に、三陸鉄道に乗った多くの人が訪れることを期待しています。

(小林さん)
「人の交流というか、そういうのが出てくればそれはいい。まちが津波で壊されて、三鉄が動きましたとなると、何とかなるんじゃないかという気になります」
釜石・鵜住居で理容店を再建した橋場光恵さん

鉄道への熱い思い



小林さん提案の三陸鉄道での組合総会を楽しみにしている、橋場光恵さん(52)です。親が鵜住居で50年前に始めた理容店を継ぎました。鵜住居川の近くにあった店は津波で全壊。父・正憲さんは待ちに待っていた店の再建を目前に去年1月、仮設住宅で亡くなりました。


(橋場光恵さん)
「亡くなった日も(建設中の)家の前で工事の様子を見ていたと、お客さんから聞いていたので。どういう思いで見ていたのか」

 橋場さんは旧JR山田線で釜石の高校に通いました。

(橋場さん)
「30数年前になるけれど、私自身も列車通学していました。このタイミングでうちの娘も来年から三鉄を使って高校に行くのかと感慨深いものがあります」

(小林誠一さんの妻・京子さん)
「走ったはいいが誰も使わないんじゃだめ。地元の人が使わなければといつも言っている」
普段からの三陸鉄道の利用が課題に

理容店も鉄道も使う人がいなければ成り立たない



列車での組合総会の朝、橋場さんは小林さんと連れ立って鵜住居駅から釜石駅に向かいます。小林さんは通院のため残念ながら出席がかなわず、妻の京子さんが代理で行くことになりました。



(乗り込む2人)
「じゃね」

理容組合総会の会場は、釜石と盛の区間を往復する貸し切り列車。

「乾杯!」

 復路の盛から釜石までは、お楽しみの懇親会です。こうした地元の団体の貸し切り利用には、沿線の自治体でつくる協議会から運賃の半額が補助されるとあって、3月の全線開業から今月8日までに28件の申し込みがありました。

(岩手県理容生活衛生同業組合釜石支部・菅原和美支部長)
「理容師という仕事がお客様を笑顔にしていく職業。地域のお店もそうですけが、鉄道も地域の皆様に使っていただかないと繁栄はないと思うので、みんなで協力しあえれば」

三陸鉄道が走る鵜住居に理容店を再建した小林さんと橋場さんにとっても、この日は笑顔の一日になりました。

(橋場光恵さん)
「地元のこうした総会や集まりで、地元の人がいっぱい使うようになればいい」

(小林誠一さん)
「いい企画だったのではと思います(参加者に)2、3人聞いてみたんだけど良かったといってくれた」

 三陸鉄道の全線開通から2ヶ月。今後はイベントや貸し切り列車だけでなく、通常ダイヤで運行される便の乗客をいかに伸ばしていくかが課題です。三陸防災復興プロジェクトやラグビーワールドカップなど、沿岸に足を運ぶ人が増える今年。被災地に賑わいを取り戻せる好機に、「復興のシンボル」として三陸鉄道が果たす役割は、より大きなものになります。
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