X 
IBC岩手放送ホームページでは、広告・番組情報配信、閲覧履歴解析等のためにクッキーを使用しています。このお知らせを閉じるか閲覧を継続することで、クッキーの使用をご承認いただいたものとします。オプトアウトや詳細についてはIBC岩手放送「サイト規定」をご覧ください。

IBC岩手放送

 
震災後に沿岸から内陸に移り住んだ人たちのために、岩手県花巻市の中心部では災害公営住宅の建設が進められています。その完成を今年3月に控え、地元の町内会では新たなコミュニティー作りに向け、災害公営住宅への入居予定者を招いた交流をすでに始めています。震災から8年経って始まる人々の新たなつながりです。

「乾杯」

 1月12日。花巻市仲町の飲食店で、地元の町内会の新年会が行われました。馴染みの顔ぶれの他、新年度から同じ町内会になる災害公営住宅の入居予定者も参加し、親睦を深めます。交流に取り組む、仲町町内会の梅津紳一郎会長(70)です。

「私どもこういう体験(内陸避難者との生活)が初めて。手探りの方法でやっている。これでいいかどうかもわからず、できるだけがんばらなくちゃと。がんばりすぎてもだめかな」

 地元花巻の他、釜石、大船渡で山林を管理する会社を経営する梅津さん。震災では2人の従業員を亡くしています。

「被災者の皆さん、どんな苦労をしてきたのか…。できるだけのことはしたい」
去年11月の現場見学会から入居予定者との交流が始まった

移り住む被災者を温かく迎え入れる


花巻市の中心部に工事が進められている災害公営住宅「シティコート花巻中央」は、花巻市が国の補助を受けて整備しています。総事業費はおよそ13億4000万円。道路をはさみ仲町と上町に2棟建設されます。共に鉄筋コンクリート造りで、仲町棟は3階建て、上町棟は4階建て。沿岸から内陸に移り住んだ24世帯が4月から入居予定です。去年の11月には、入居予定者を対象にした現場見学会が行われました。


(入居予定者)
「花巻の一等地に建ってこれからが楽しみ」
「被災してバタバタしてきて、今いるところにお世話になっていたが、これからどうしようか不安だった。内陸に災害公営住宅をつくってもらってありがたい」

 この日の見学会では、災害公営住宅の敷地に新たに建てられた集会施設で、仲町と上町の町内会の関係者と入居予定者による、初顔合わせも行われました。

 そして、そこから交流が始まりました。去年の12月には地元のシンボル、マルカンの大食堂で町内会主催のお茶会です。ソフトクリームなど地元グルメを味わいながら親睦を深めました。
被災者が地域に溶け込めるようにと開かれた新年会

入居前からの交流で心を解きほぐす


 そして迎えた1月12日の新年会。梅津会長の挨拶で会は始まりました。災害公営住宅の完成までおよそ2か月。去年から続く交流は住民の心を解きほぐし、新年会は大いに盛り上がりました。

「うちのだんなもイケメンだったけど、さらに上がいた。『背広着ない漁師』だから」


(大槌町で被災した参加者)
「これからいろいろ行事があって、グラウンドゴルフに誘われました。道具もあるから来てくれと」

 これから始まる新しい生活に期待を膨らませつつ、参加者たちは震災で大きく変わった自身の人生を打ち明けます。津波でふるさとを離れた被災者の複雑な思いです。

(大槌町で被災した参加者)
「(地元に戻りたい気持ちは)あります。ただ家がないし、住むとこないからしょうがない、諦めるかという感じ。自分が住んでいた大槌なら同級生もいるし、隣近所のおばちゃんもいるし、そっちのほうがよかったのかな。でもやっぱり、人生楽しく生きていかなければ。こういう場所に来てよかった」

 楽しくも濃密な時間。仲町町内会の梅津紳一郎会長は静かに耳を傾けていました。

(梅津会長)
「(交流会が)こういうふうにうまくいって安堵している。(入居予定者が元気で)こっちが圧倒されている」

 町内会では花巻まつりを始めとする地域のイベントにも積極的な参加を呼びかけています。災害公営住宅の入居開始は今年4月。新たなコミュニティーでともにまちをつくり上げようと、地域の取り組みは続きます。
×