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全国的な流れに乗って、岩手県でも外国人観光客が増加しています。一方で課題なのが被災地への誘客。震災から8年近くが経っても伸び悩んでいます。インバウンドを復興への起爆剤に。受け入れ環境の整備を進める陸前高田の取り組みを取材しました。

「ある場所に行くと水晶がいっぱいキラキラ散らばってて、大きい水晶もあれば、ほとんど細かいやつなんですけどね、自分で綺麗なやつを探すんですよ」

 陸前高田市の魅力を観光資源につなげようと意見を交わす女性たち。外国人観光客の受け入れ整備などを目的におととし発足した社団法人「マルゴト陸前高田」が育成し、市も認定している通訳ガイドです。

 現在4人で活動するメンバーのうち「マルゴト陸前高田」のスタッフでもある横澤亜耶さん32歳は、活動を取りまとめるリーダーでもあります。住田町出身で高田高校を卒業した横澤さんは、県外の大学で語学を学び、香港での海外勤務も経験したあと震災を機にUターンしました。

「誰が(陸前高田に)来ても住みやすかったり居心地がよかったりフレンドリーだったり、そういった地域づくりが一番だと思うんです。たとえ日本人じゃなくてもそれはいっしょだよねというのを交流を通してちょっとづつ伝わればいいのかなと思っています」

 横澤さん以外のメンバーは全員海外の出身で、結婚を契機に20年近く岩手で暮らしている女性たちです。視察や観光など様々な目的で陸前高田を訪れた外国人に対して震災でのできごとを伝えています。

(菅原マリフェさん)
「私も被災したので7年前のこともまだ心の中に残っている。傷が残っているのでお客さんに言ったことは伝えていってほしいです」

(下斗米霞さん)
「中国は日本と比べると自然災害は少ないところで地震はないところが多い」「どこの国の人でも日頃の防災意識を持って生活してほしいなと思って…」

 海外から訪れた人の被災地への理解が進めば、震災の風化を防ぎ復興への一助にもなると期待されています。

(横澤さん)
「世界中の人からいろんな助けを今ももらっているので、どこの国の誰が来ても復興の様子ですとか震災の教訓を伝えられたらいいなと思って、こういう活動をやっています」
サムライの衣装や小道具でコミュニケーションをはかる

民泊で農家や漁家の生活を体験


 しかし、メンバーたちの思いとは裏腹に厳しい現実があります。岩手県によりますと、県内を訪れた外国人観光客は毎年増加していて、去年1年間ではのべ26万人余りが岩手を訪れました。

 一方で陸前高田市を訪れた外国人観光客は400人程度。盛岡市や花巻市、平泉町に集中していて沿岸被災地には足を運んでもらえていないのが現状です。

 今年8月には岩手と台湾を結ぶ初の国際定期便が就航していて、今後も岩手を訪れる外国人観光客数は高い水準で推移することが予想されます。その人たちをいかに沿岸に来てもらえるようにするか。被災地が抱える大きな課題です。

 外国人の受け入れ環境を整えていこうと「マルゴト陸前高田」が進めているのが、農家や漁家の生活を体験してもらう民泊です。陸前高田市横田町の農家平坂隆義さん、サツ子さん夫婦は震災後、本格的に外国人の民泊を受け入れ、これまでに世界各国から20組以上を迎え入れてきました。

「専門的なことはわからないけれども(震災で)体験した経験を言うことでね。またできあがった(復興した)ところを必ず見に来てくださいよとお願い方々言うんだけどさ、来る人もいる」

 英語を話すことができない平坂さんは、言葉の通じない外国人とコミュニケーションをとるため様々な努力を行ってきました。サムライの衣装や小道具もその一つです。

「ジェスチャーとかね、笑い顔とかでわかるんだよね、不思議に。だから受け入れるほうも広い気持ちで、外国人だということにこだわらない態度で」

 今月初旬にジャマイカなどから訪れた一行の反応も、上々だったということです。
自分たちの言葉で震災を伝えることが「心の復興」にもつながる

外国人を受け入れる態勢が整い始めた


 一方、今年の夏に初めて民泊体験を受け入れた小友町の村上庄一さん、カネ子さん夫婦の自宅は、大工でもあった村上さん自身が作った神棚が外国人に好評です。

「こだわったのはここのつくりですね。これはほとんどどこの家にも無いんだよね。(これを見た外国人の反応は?)すばらしいとは言うんだけど、あとの言葉はわからないもんねー」

 村上さん夫婦は来月、シンガポールからの視察団を受け入れる予定になっています。外国人を受け入れる土壌が少しづつではありますが、広がりを見せています。

(横澤亜耶さん)
「海外の人たちはここで震災があったことすら知らない、もしくはそういう世代の人たちがたくさん来てます。そういう人たちに民泊家庭さんとか協力団体の方たちが自分たちの言葉でそれを伝えようとしたり見せようとしたりすることが、心の面での復興であったりそういう意味では関係あると思います」

 市内では別の団体による外国人のための「看板」や「パンフレット」を整備する動きもあり、横澤さんたち通訳ガイドとの連携も模索されています。多くの人たちに語り継ぐだけでなく、地域経済活性化の起爆剤としての可能性も大いに秘めたインバウンド=外国人観光客誘致。増加傾向にある今、この好機を復興につなげようと被災地での取り組みが動き始めています。
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