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音楽ファンが手づくりする野外イベントが先日、岩手県山田町で開かれました。東日本大震災から7年余り。人生の岐路に立ちながらも、音楽で町をひとつにしたいと、イベントに力を注ぐ人々の思いを見つめました。

 7月1日、山田魚市場の特設会場で行われた、野外ライブイベント「ウミネコJAM」です。町の内外から10組のアーティストや団体が出演。集まった人たちは思い思いにリズムをとり体を揺らしました。
 ウミネコJAMを主催するのは山田町、大槌町、そして釜石市に暮らす音楽好きの仲間7人です。代表を務める佐藤澤一彦さん48歳は、山田町で飲食店を営んでいます。

(佐藤澤さん)
「面白くできたらいいですね。きっかけになる位でいいすかね。多分、面白くなるのは俺らの次の世代のような気がする。きっかけ作りというか」

 山田町出身の佐藤澤さんは、震災を機に働いていた盛岡の居酒屋を辞め、2012年にふるさとに居酒屋をオープンしました。若い人たちが楽しむ場所、集まれる場所を作りたいという思いからでした。

(佐藤澤さん)
「自分がそんな大きいこと出来ないけど、こっちでもこうやって楽しもうと思えば、作って自分らでやれば出来るんじゃないかな、きっかけになればいいかなって」
「マルさん」の店には、音楽仲間がそれぞれ復興への思いを胸に集う

仲間とともに、思いを胸に


 かつて勤めていた会社、当時の「マルハ」からとって、仲間たちから「マルさん」と呼ばれる佐藤澤さん、3年前、店に集う仲間に呼びかけて始めたのが、ウミネコJAMでした。
 マルさんの頼れる仲間のひとり、金川貴子さんです。仲間からは「ターコちゃん」と呼ばれています。兵庫県姫路市出身の金川さんは、被災地で役に立てることはないかと2014年、釜石市にやってきました。金川さんの仕事は看護師。震災前は東京で働いていました。今、勤めている釜石市内の病院は、154床のベッドのほとんどが療養型の病床。ここで最期を迎えるお年寄りも、療養生活を送っています。金川さんは日々の仕事の中で、震災の爪痕を感じています。

(金川さん)
「震災の影響で認知症が進んだり、脳血管の病気の発生率は増えていると思う。心疾患も合わせて、そこをどうすることもできないから、病院にいる時間を一秒一秒楽しく過ごしてもらえるように、関わっていくしかないなと」

 イベントを3日後に控え、山田町のマルさんの店では、準備が大詰めを迎えていました。

(金川さん)
「手づくりでも何でもいいから、とにかく丁寧に人に分かるように、いろいろ作んないと」

 プレハブ仮設のマルさんの店、「竹松や」は今月いっぱいで使用期限を迎え、立ち退かなくてはなりません。まちの復興が進むことを嬉しく思いつつも、今のところ次に店を出す場所のあてはありません。

(佐藤澤さん)
「ある程度、ここの場所も何となく憶えてもらってきたくらいで、また動いたりしなきゃないし、しょうがないっちゃしょうがないけど、なるべく次で終わりにしたいと。なるべくっていうか、次で終わりにしたいすね。仲間が集まれる場所を、かならず再開させる」

 固い決意を胸にマルさんは、「ウミネコJAM」に気持ちを奮い立たせます。
「音楽を通じて、町をひとつに」

自分たちで、仲間どうしで作るから「楽しい」


 そして迎えたイベント当日。

(佐藤澤さん)
「天気に恵まれて最高の条件だと思うんで、ただちょっと暑いんで、休みながら行きましょう。よろしくお願いします」

「ウミネコJAMスタート!」

 トップを飾るのは山田町出身のアーティスト、佐々木龍大さんです。

(佐々木龍大さん)
「今、振り返ると震災が無くても、こういった動きがあったのかなと思ったりもしますし、震災があったからこそ、頑張れるというのもあると思う。自分もある意味、このウミネコJAMのスタッフの一員のような気持ちもあって、心から盛り上げたい気持ちで参加しています」

 準備から運営まで、休む暇なく動き回る「ターコちゃん」こと金川さん。実は長い間の交際が実り、この日出演したバンドのドラマーと晴れて入籍。10月に釜石を離れ埼玉県で新しい暮らしを始めます。

(金川さん)
「一か月に一回でも来れれば一番いいですけどね。あっちいったらあっちの生活があるから、その中で繰り出してこれたらいいなと思って」

 それぞれに人生の岐路に立ちながら、今年のウミネコJAMをやり遂げた二人。

(佐藤澤さん)
「来年もやれるように頑張りたい」

(金川さん)
「若い夫婦が連れてきてるお子さんとか、その子たちがもうちょっと大きくなった時に、外に楽しさとか刺激を求めなくても、自分で生み出せる力、創造力を持つきっかけになってほしい。ウミネコJAMが」

 楽しいことは待っていても来ない。自分たちで作るから楽しい。仲間どうしで作るから楽しい。ウミネコJAMは音楽を通して、そのことの大切さを伝えています。
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