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シリーズでお伝えしている「仮設住宅は今」。60回目は、津波で夫や岩手県大槌町の自宅を失い、今、前向きな生き方を模索する、花巻市に住む女性を取材しました。

 岩手県花巻市。みなし仮設である集合住宅。震災の年の5月から暮らす平野菊枝さん69歳です。釜石市生まれの平野さんは、25歳で結婚して大槌町へ。しかし津波が漁師だった同い年の夫、美代司さんと自宅を奪いました。40代の長女と長男は無事で、関東に住んでいます。震災発生から7年。歳月は友人との関係も変えてしまったと嘆きます。

(平野菊枝さん)
「大槌に帰りたいという思いはあるが、友だちや向こうにいる仲間たちとの縁が段々、薄くなってきて、会話もうまく話せなくなってくる。(大槌に)行っても『こんにちは』『しばらくね』ぐらいで、何から話をつなげていったらいいのか。一番、寂しい」

 花巻には10歳下の弟が住む縁で身を寄せました。夫を亡くした当初をこう振り返ります。

(平野さん)
「テレビでも1年目は被災のことばかりやっている。『前を向きましょう』というのが、どういう意味か、意味さえわからなかった。何なの、前を向くというのは。何をやれば良いの、前を」
「前向きに生きる意味が見えてきた」と語る平野菊枝さん

「死ぬまでいる場所がここになる」


(リポート)
「平野さんは花巻に建設中の、災害公営住宅に入居を希望しています。入居の時期やどの部屋になるのか、まだ決まっていません」

 花巻では災害公営住宅が、上町と仲町に2棟、合わせて30戸整備中で来年3月、完成予定です。

(平野さん)
「子どもたちを連れて、マルカンデパートに来たことがあった。永住するなんて考えもしなかった。死ぬまでいる場所がここになるわけ。しょうがない。ここに決まったから。決めたのは私だけれど。」
「(大槌の)山手の海が見える、また自分の元あった家がちょうど見える位置に(墓を)建てた。その方がお父さんは安心できるのかなと。私が花巻に住むとなると『何だよ』となるかもしれないが」

 市内の飲食店で働き、仲間ができた平野さん。やっと前向きに生きる意味が見えてきたと目を輝かせます。

(平野さん)
「花巻に来てパソコン教室に通ったり、絵手紙をしてみたり、新しいことをやることが『前向き』というのかなと感じた」

 平野さんは「大槌」に思いを馳せながら、「花巻」で暮らしていきます。
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