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震災で死者888人、行方不明者152人を出した岩手県釜石市は、災害から命を守るための様々な取り組みを進めています。しかし一方で住民の安全を確保する砦となる「避難所」の場所を巡って頭を悩ませている地域があります。

 「津波から命を守る。」そのための避難訓練の在り方は。避難場所の整備をどうするか。釜石市では岩手大学の齋藤徳美名誉教授をアドバイザーに迎え、自主防災組織や町内会、消防団の代表らで、一昨年から議論を重ねてきました。

(消防団関係者)
「団員の高齢化とともに、若い方々の入団者が少なくなってきている切実な問題があります」

(町内会の代表者は)
「(大震災のときに)体育館に400人避難させてもらったんですが、ペットの問題が10組くらいあった」

 ほかにも「避難に助けが必要な人を、どう支えていくのか」といった、すぐには解決が難しい問題が会議の度に指摘されてきました。

(齋藤名誉教授)
「どこまでフォローするかということは、その人が出てきた状態の中で、町内会とか集落の中でどこまでできるか、具体的に詰めなくてはならないという作業になる。一歩ずつやっていかないと課題がある。課題があるだけで結局どこにも手が打てない」

(齋藤名誉教授)
「皆が避難する体制を作ることで、きょう一歩前進したので、これを実行するように、これから本腰を入れていく。道のりは遠いと思うが、次に来る災害のためにやらなければいけない」
津波避難場所ではない施設に多くの人が避難し、犠牲になった

「悲劇」を繰り返さないために


 こうした取り組みの背景には、東日本大震災のときに、津波の避難所でないにも関わらず、多くの人が避難し犠牲になった、鵜住居地区防災センターの悲劇があります。「市の職員や住民に、十分な津波防災の知識があったら、悲劇は防げたかもしれない」市はこのことを重く受け止め、全職員を対象にした防災研修を去年から始めました。これまでに5回行われ、職員のおよそ半数にあたる250人が受講しました。

(釜石市・佐々木亨危機監理監)
「特に今、台風10号はじめ台風災害が多く、災害対応に実際にあたっている職員、避難所対応だったり多くありますので、自分が震災を知らなくても、災害の対応にあたっているということで意識は上がってきている」
「大雨」での避難は危険な道を通り、車で15分ほど離れた場所へ

「津波」と「大雨」で異なる避難場所


 災害から身を守るための「避難所」の場所に、頭を悩ませている地区があります。釜石市平田の尾崎白浜地区です。

(地区を案内する町内会の佐々木会長)
「こっちは津波がこう行ったんだよ」

 98世帯が暮らすこの地区では以前、小学校があった高台に、津波の際の一次避難所の役割を担う、集会所の建設が進んでいます。ところが津波でなく大雨の場合は…。

(尾崎白浜町内会・佐々木貞夫会長)
「大雨の場合はここには逃げられない。平田小学校に避難してくださいなんですよ」

 尾崎白浜地区は山が直接、海に落ち込むリアス式海岸特有の地形で、地区のほぼ全域が豪雨の際の、土砂災害危険区域に指定されています。建設中の集会所もその危険区域にあります。大雨のとき住民は、車で15分ほどの場所にある、平田地区の小学校に避難することになっていますが途中、落石の恐れがある、狭く曲がりくねった道を通っていかなくてはなりません。

(佐々木会長)
「大丈夫だろうと早めの避難だからって、平田まで行く間に二次災害にあって、けがくらいならいいけど、亡くなったなんて話が出てきたら誰が責任とるんだ」
災害に応じて公共施設に限らない避難場所も検討へ

「逃げるべきところに逃げて、助かる」


 地区の婦人消防協力隊の佐々木淳子さんです。避難訓練の在り方を検討する、市の委員を務めています。

(佐々木淳子さん)
「土砂災害大雨のときには、集会所は開錠しちゃいけない場所ですから、そこは絶対誤っちゃいけないことだと思っています」

 佐々木さんの固い決心にはわけがありました。

(佐々木さん)
「介護を受けていた両親でしたので、(震災の)前の年に開所したばかりの、鵜住居地区防災センターにはじめて避難したところで被災したわけですけど・・。逃げる場所はとても大切ですので」

 佐々木さんの両親は津波の避難場所ではない、鵜住居地区防災センターに避難して命を失いました。

(佐々木さん)
「普段の避難訓練のときから、逃げるべきところに逃げて、助からなくてはならないと思っています」

 三陸沿岸には尾崎白浜地区と、同様の課題を抱える漁村集落が数多く存在しています。釜石市では公共施設だけでなく、地区の中の比較的安全な場所にある、民家に避難できないかなど、住民同士の話し合いを支援していきたいとしています。
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