IBC岩手放送

 
11月11日から兵庫県で行われる「マスターズ甲子園」に、岩手県立宮古高校のOBが出場します。被災した故郷、そして母親への思いを胸に大会に臨む、一人の選手にスポットを当てました。

 土曜日の野球場に集まった、かつての高校球児たち。「マスターズ甲子園2017」に向けて白球を追う、平均年齢39歳の社会人チームです。
 「マスターズ甲子園」は全国の高校野球経験者が、世代を越えてもう一度、甲子園を目指す大会で2004年に始まりました。岩手勢は今回が初出場。7月の県予選で初優勝を飾った宮古高校硬式野球部OBが中心となり、選抜チームを組んで挑みます。

(岩手県代表・野田誠監督)
「東日本大震災はじめ数々の自然災害がある中で、人とのつながりを再認識している野球を通じて地域、故郷のため母校のため、愛着心であったり帰属意識を高めるため参加している」
震災時に就職、母校を支援したかったと語る湊宏一さん

甲子園を目指す銀行マン


 宮古高校OBの中で最年少、29歳の湊宏一さんは、山田町出身の銀行マンです。高校時代は1年生から、チームの主軸として活躍しました。

(湊さん)
「現役のときは(甲子園出場が)叶わなかったので、社会人になってマスターズ甲子園という大会を知って、声もかけてもらったので、ぜひ参加させてほしいと思って参加した」

 今は職場のある北上で暮らす湊さん。震災以降、自分自身に対して歯がゆい思いを抱き続けてきました。

(湊さん)
「就職する年に震災があった。実家も被災し、なかなか母校の部活に顔も出せなかった。ずっと支援の思いはあった。これを機にOB会(参加)含めバックアップしたい」

 母校への思いと、もうひとつ、マスターズ甲子園を目指そうと決めた理由がありました。「お母さん」です。

(湊さん)
「(母親が)おっかけしてくれた学生の時は励みになったし、甲子園に連れて行きたいという気持ちがあった」
息子の野球をする姿が、ずっと心の支えだった

応援し続けてくれた母を甲子園へ


 この日、湊さんは奥さんといっしょに母、和子さんの元を訪ねました。和子さんは震災の3か月前に、夫を心筋梗塞で亡くし、今は娘の千明さんと盛岡で2人暮らしです。震災の時は山田町で、小学校の先生をしていました。津波で自宅を流され、義理の母を亡くしました。

(和子さん)
「(被災時)いっしょに子供たちと生活し家もなくなったので、山田南小にしばらくお世話になった」

 そんな和子さんにとって息子、宏一さんが野球をする姿は、心の支えであり続けました。

(和子さん)
「高校の時までは正直、神経病むときもあったけど、(社会人になってからは)微笑ましく、楽しく応援できた。休みがあいているときは常に応援に行き、それが楽しみだった。今回はその延長」

 母校へのエール、そして母への思いを胸に、湊さんは夢の舞台へ向かいます。

(湊宏一さん)
「地元の方にいい知らせができるということもあるが、現役(高校生)の時できなかったことが、社会人になってできるという喜びもすごくある。(準備は?)体重の減少です。(走り込む?)お米を減らします」

 「自分にできることは何か」を考え続けた6年余り。湊さんたち岩手選抜チームの「マスターズ甲子園」が始まります。
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