IBC岩手放送

 
岩手県大槌町で数字を使ったパズルの「数独」が人気となっています。「数独」は高齢者の健康づくりに、そして震災後の地域のコミュニティづくりにも効果を発揮しているようです。

 大槌町の仮設住宅に隣接する地域の交流施設です。お年寄りたちが真剣に取り組んでいるのは数字を使ったパズル「数独」です。
 数独は1970年代にアメリカで生まれ、140か国で親しまれています。30年ほど前に伝わった日本には、20万人以上のファンがいるとされています。縦・横9列の空いているマス目に1から9の数字を入れていきますが、それぞれの列や3マスかける3マスのブロック内に同じ数字が重複してはいけません。
 大槌町では家に閉じこもりがちになってしまった被災者の交流に役立てようと、東京のNPOが3年前から「数独教室」を開いています。お年寄りを中心に人気を呼び、今、多くの人々が楽しんでいます。

(男性)「順調にいくときはばっと順調に行くけど」「最初この1の入れ方が主なんだっけな、この1で狂ってくるんだっけな」
(女性)「楽しい」「みんなと集まっていろいろ話したりお友達になったりいろんなの教えてくれるので生きがいです」
最高齢99歳の大下きよさん「楽しいね」

「数独」が、被災した人と人との心を結ぶ


この場所で最高齢の愛好者、99歳の大下きよさんです。ゆっくり、ゆっくり時間をかけて問題に向き合い、最後まであきらめずにゴールを目指します。

(大下きよさん)「まず楽しいね出来ないけどね」(100点ですよ!)「(笑い)」
(交流施設ぬくっこサポートセンター芳賀美砂子管理者)
「すごい集中力なんです。40分とかじゃなく1時間位ずっとそのまま解けるまで自分が達成するまではこうしてやってくれます。びっくりします」

 集まった人の多くが津波で家や大切な人を失いました。自宅の再建や災害公営住宅の整備が進み、仮設住宅から次の暮らしに移る人も多くなってきましたが地域のコミュニティを復活させるのは簡単ではありません。そんな中、今、この「数独」が人と人の心を結んでいます。

(芳賀美砂子管理者)
「こういう場所でみなさんとお話したり取り組めるものがあるというのは生きがいになっていて良かったなと思って。私たちもこれに携われたことが良かったと思います」
大槌の「数独」は、みんなが一緒に解いている雰囲気

全国初の「数独技能認定試験」が大槌町で開かれた


アメリカに生まれ、震災後の大槌町で愛される「数独」。この日、全国初の技能認定試験が大槌町で行われました。遠くは千葉県など全国から108人が集まりました。

(参加した男の子)
(いくつですか?)「7歳」(数独楽しいですか?)「(うなずく)」
(参加者)
(どういうところが楽しいですか?)「完璧に答えが出るところ。埋まるところ」(スッキリします?)「スッキリします!(笑)」

 会場には99歳、大下さんの姿もありました。

(試験開始)「それではよーいスタート!」


 試験は4問。81のマス目とにらめっこしながら問題を解いていきます。正解の数に応じて7級から11級までを認定します。

(大下きよさん)「ちょっと難しかったね」

 大槌町民の数独の楽しみ方は、ほかの地域と少し異なるようです。

(日本数独協会鍛冶真起代表理事)
「ふつう数独パズルというのはひとり仕事なんですね。ところが大槌町の場合はみなさん一緒に数独を遊んでくださっている。ひとりで解いてるんですが雰囲気がぜんぜん違う。団体でいっしょに解いてる感じこれはいままでで初めて」

 認定試験の開催で町外との交流も生まれ、平野町長も「数独」の効果を実感していました。

(平野公三町長)
「第2回、第3回と繋げていければと思いますし、もっともっとブラッシュアップして様々に広がりを大きくしていきたいと思いました」

 パズルをみんなで解くという、新たな楽しみ方を生み出す中で、震災で失われたコミュニティを少しずつ取り戻しつつある大槌町の人たち。最後まであきらめずに問題に向き合う心を養うことは、これからの地域づくりにも大いに役立ちそうです。
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