IBC岩手放送

 
岩手県宮古市と北海道室蘭市を結ぶ県内初の定期フェリー航路は、来年6月22日に開設されることが正式に決定しました。片道326キロを、10時間かけて運航されるフェリーは1日1往復で、宮古は朝、室蘭は夜の出発です。就航日の決定を受けて、宮古市の関係者が室蘭市を視察しました。室蘭の街と、新航路にかける期待を取材しました。

(室蘭市・青山剛市長)
「きょうはよく来ていただきまして、ありがとうございました」

 今月5日、室蘭市の青山剛市長のもとを、宮古市の山本正徳市長が訪れました。フェリー就航までのスケジュールが確定したことから、両市の結束を確認するためです。

(宮古市・山本正徳市長)
「第1船に市民がたくさん乗ってもらうように計画をしているので、たくさん来ると思います」

 宮古、室蘭双方の報道陣が詰めかけた会談では、新航路の名前を「宮蘭航路」とすることで一致。両市長は固い握手を交わして、一層の連携を誓いました。北海道の南西部、太平洋に面した室蘭市は人口およそ8万6000人。製鉄、石油精製などの工場が立ち並ぶ「ものづくり」の街です。
(リポート)
「室蘭のシンボル、地球岬にやってきました。見渡す限りが海。三陸の美しさとはまた違った雄大な海岸美です」

 白亜の灯台が立ち、目の前に大海原が広がる地球岬や、全長1380メートルで東日本最大級のつり橋、白鳥大橋が観光名所として知られ、豚肉と玉ねぎで作る室蘭やきとりが人気グルメです。

(室蘭市教育委員会・松田宏介学芸員)
「この地域は盛岡、南部藩の受け持ちの範囲で、このような陣屋跡、今でいう武士たちの防衛拠点を築いたという史跡になります」

 また陣屋地区と呼ばれる一角には、幕末に蝦夷地の警護に当たった南部藩の建物跡があり、歴史的にも宮古、岩手と深いかかわりを持っています。
 かつて北海道最大の工業都市と呼ばれた室蘭市ですが、札幌へのアクセスに勝る苫小牧市の発展に押され、フェリーは2008年に廃止されました。それだけに宮古との定期フェリーには、大きな期待を持っています。

(室蘭商工会議所・栗林和徳会頭)
「フェリーがなくなったという苦い歴史がありますので、何と言っても貨物の集荷が大切だと思います。どうしても苫小牧の方にフェリーが重なっていまして。いかに効率良く荷物を集めて、航路を維持していかないと。もう1船、他の航路、そういう風にがんばっていきたい」

 市内の中心商店街には、フェリー就航をPRするポスターが貼られていて、盛り上がりを見せています。室蘭市内8つの商店街振興組合で組織する連合会も、宮古との交流を深めていく方針です。

(室蘭市商店街振興組合連合会・斉藤弘子理事長)
「長年続けてきた東北支援物産展もあるので、来年以降は宮古に特化した宮古の物産展、そういう機会をぜひ作らせていただきたいと考えています」
「岩手初の航路で地元貢献したい」と語る松舘大地さん

新航路開設で高まる期待


(リポート)
「青森県八戸港にやってきました、私の後ろに見える船がシルバークイーン。来年6月から宮古と室蘭を結ぶ船です」

 一方、フェリー会社も9か月後の営業開始に向けて準備を進めています。現在八戸-苫小牧間でフェリーを運航している東京の海運業、川崎近海汽船にとって、宮古-室蘭航路は初の新航路開設です。関連会社を含めて宮古に、10人程度の社員が勤務するほか、貨物の移動や清掃の仕事に携わる、30人近くの新たな雇用も生まれます。宮古市出身の松舘大地さんも、新航路開設を見据えて今年春、採用された1人です。

(シルバーフェリーサービス・松舘大地さん)
「岩手県ではまだ航路ができていなかった、初めてなので。地元に貢献できるのが一番だと思うので、宮古でがんばりたい」

 また下田豊昭船長は、旧宮古海員学校のOBです。

(下田豊昭船長)
「安全な航海はもちろんだが、快適な船旅ができるように努めていきたい」
来年6月の就航に向け、宮古・室蘭両市の機運が高まる

定期フェリー就航を復興の起爆剤に


室蘭市では現在、フェリーターミナルの整備が進められています。2008年度まで使われていた施設を、およそ8億5000万円かけて改修するものです。最大で5航路もあったターミナルの規模は大きく、空港のような雰囲気です。工事の整備状況を確認した宮古、室蘭の両市長は決意を新たにしました。

(宮古市・山本正徳市長)
「相互に自分たちがやることを確認したり、相手方の思いを確認し合いながら、フェリー就航に向けて取り組んでいることは、非常に頼もしく思っている」

(室蘭市・青山剛市長)
「機運の醸成に一層力が入っていくものと感じている。その意味では非常に良いタイミングでの、室蘭も訪問をいただいた」

 定期フェリーの就航を、復興の起爆剤としたい宮古市と、かつてのにぎわいを取り戻したい室蘭市。今回の視察は互いの熱い思いと、フェリーの大きな可能性を実感できる、有意義な機会となりました。
×