IBC岩手放送

 
8月、岩手県陸前高田市で市民が復興の現状を確認する見学会が開かれました。普段見ることができない復興工事の現場で市民は何を感じたのでしょうか。

 8月23日の昼下がり、陸前高田市コミュニティホールに多くの人が集まってきました。岩手県と陸前高田市が主催する「ふるさとの復興見学会」に参加する人たちです。

(参加者)
「普段、行けないところに行けるし、高田のまちがどうなったかを見れるし。一番はどうなっているのかなって」「復興がどういう風に進んでるか自分の目で確かめたいということで、こうした活動に参加しています」

 この日の見学会には陸前高田市民ら38人が参加しました。バスで向かった先は、高田町を守る高さ12.5メートルの防潮堤。参加者たちは工事のため普段は入ることのできない防潮堤の上からの景色に感慨深げでした。

(参加者)
「言葉はないですよね」

 高田地区の防潮堤の周りでは砂浜や松林の再生事業、津波復興祈念公園の整備事業なども行われています。

(県の担当者)
「なぜ12.5メートルかというのは、先ほど14.5メートルの津波が来たというお話をしたんですけども、1000年に1回っていう東日本大震災と同じような高さで復旧すると経済的にも非常に不経済になりますし、もしかしたら次は14.5メートルよりもっと高い津波が来るかもしれないというようなこともございます」

(参加者)
「もう本当に震災から6年過ぎてるんですけど全然来たこともないし、車で通るたびに眺めてはいるんですけどこういうところに来れないというか来なかったんですよね。今度思い切って参加させてもらって良かったです」
「復興」で変わる「ふるさと」 見学会は3年間で11回開催された

「復興の姿」を住民自らが確かめる


 この「復興見学会」は、高台移転用地や高校の再建工事など目に見える復興の姿を地域の人たちに見てもらおうと、県の主催で2014年に始まり、被災した各地で行われています。大船渡・陸前高田地域ではこの3年間で11回開催され、参加者はのべ473人に上りました。
 津波で甚大な被害に見舞われた陸前高田市では防潮堤の整備事業のほか、かさ上げによる市街地再生事業、災害公営住宅の建設や防災集団移転事業など、完了したものを含めると90以上の復興事業があります。事業費をまかなうため、今までに国から1860億円あまりの巨額の復興交付金が投入されています。

(県の担当者)
「高田病院の方は仮設41床を60床にして入院、それから外来の診療を今年度中から開始するということで現在工事を進めています」

 この日最後の見学は高台を造成して建設が進められている県立高田病院の工事現場です。生活に密着する病院の再建に、参加者たちの期待も高まります。

(参加者)
「このような機会に見てね、かなり工事も進んでいるように思います。早い開業を目指していただければ幸いと思います」

(県大船渡地域振興センター・米内敏明復興推進課長)
「復興のステージが徐々に安全安心の部分からこのような形の生活に密着した現場にシフトしている。あるいは心の復興というようなところもありますので、こうしたソフトの部分も含めた新たな展開というのも当然我々、対象者をさらに広げた形で進めていきたいと考えています」
「復興を知ることは住民の責任」と語る釘子明さん

「復興」を他人事にしない


 見学会に参加した釘子明(くぎこ・あきら)さんです。陸前高田市高田町に住む釘子さんは震災後、被災地の語り部として全国から訪れる人々にあの日起きた悲劇や復興の現状を伝え続けています。

(釘子さん)
「他人事にしちゃいけないってことで」

 釘子さんは自分のまちの復興を知ることが大切だと考えています。見学会に参加できない人のために自分が撮った写真や動画をSNSに載せ、情報発信も行っています。

(釘子さん)
「みんなで真剣になって聞いて、参加して、チェックしてより良いものができるように。やっぱり監視って言っちゃ変なんだけど見なくちゃいけないですよね。それはわたしたちの責任じゃないんですかね」

 国が決めた「復興期間」は2020年度まで。まちの姿が刻一刻と変わる中、より良いふるさとづくりにつなげようと復興の過程を住民がしっかりと見つめます。
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