IBC岩手放送

 
岩手県内では震災から6年半になろうとしている今も、1万人以上の方が「仮設住宅」あるいは「みなし仮設住宅」で暮らしています。その現状を伝える「仮設住宅は今」。自宅再建の目処は立ったものの、仮設に残る人や町の今後を心配する、大槌町の男性を取材しました。

大槌町の小鎚仮設団地。夫婦と30代の長男、3人で暮らす自治会長の臼澤良一さん(68)です。

(臼澤良一さん)
「早く仮設がなくなって本来の姿に。元の生活に戻ってほしいなと思っている」

 臼澤さんは本町にあった自宅を津波で流されました。家族は無事で、30代の次男は既に独立しています。
 現在、こちらの仮設で暮らすのは、震災当初の4割にあたるおよそ40世帯。住民は来年9月までにはこちらを出る予定です。臼澤さんは住民との交流で感じていることがあります。

(臼澤良一さん)
「自分たちの足下を見つめながら前に向かっていくのは、なかなか話をしている中で、見つけることができないというのが実感」
仮設住宅では「待ちくたびれた」という人も

早く元の生活に戻って欲しいが…


 同じ仮設に住む佐々木姫子さんです。震災前と同じ安渡地区に、自宅を再建する予定ですが、土地の引き渡しは来年度の前半になります。

(佐々木姫子さん)
「(待ち)くたびれ過ぎて、あきらめが半分以上。自分の心の中で引け目を感じるようになってきている。『仮設』という字を書くのは。仮の宿。自分の家に早く入りたいが、こればかりは」

 臼澤さんは町内で間もなく自宅の再建に着手し、年末には入居できる予定です。仮設を出る目途は立ったものの、残る人に「先に出て申し訳ない」という思いがあり、再建後も仮設に通うつもりです。

(臼澤さん)
「仮設から住所は移りますけれど、『皆さんと共に活動しているから心配しないで』という所を伝えていきたい。本当に苦しい」
「生きたかった人たちのために、何ができるか」と臼澤良一さん

「復興って何ですか?」自宅再建しても募る不安


「今度、私が家を建てる所はここですね」

 臼澤さんは建物や道路など、ハード面の復興が進む一方、生業やコミュニティ作りといった、ソフト面の遅れを感じていて、町に住む人が減るのではと不安を抱いています。

(臼澤さん)
「どんどん人口が減ってしまって、私たちにとっては『復興って何ですか?』という所に行きつくのかと心配している」

 被災地支援のNPOの理事長として、多忙な日々を送る臼澤さん。自身を動かすのは、震災翌日に見た町の光景だと言います。

(臼澤さん)
「(泥まみれの)真っ黒な仏様の所に、白い粉雪が舞っているモノトーンの光景、あれは絶対忘れられないです。生きたかった人たちのために私たちが今、何ができるか、それが生きている私たちに課せられた、課題ではないかと日々活動している」

臼澤さんはこれからも、被災した故郷とともに歩み続けます。
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