IBC岩手放送

 
岩手県陸前高田市で夏の一大イベントだった祭りが、先日、7年ぶりに復活しました。名物の「チャオチャオ道中踊り」。平成7年の市制施行40年を記念して制作した音頭を広めようと、翌年の平成8年から震災前まで、毎年、市民総参加で盛り上がっていたお祭りです。商業施設が建ち始めたかさ上げ地で復活したお祭りに、市民は何を感じたのでしょうか。

先月29日、かさ上げされた陸前高田市の新たな中心市街地で、震災後初の「チャオチャオ陸前高田道中踊り」が行われました。

(戸羽太市長)
「たくさんの震災で犠牲になってしまった仲間たちが、きっと空から見ているんじゃないかなと思います。きょうはまさに天に届くように、みんなで笑顔で踊りたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます」

 参加した市民およそ260人は、思いを込めた踊りを天に届け、集まった人たちを笑顔にしました。
 毎年7月の終わりに行われていたこの祭りは、町内会や企業などおよそ40団体、2000人が参加する夏の一大イベントでした。しかし東日本大震災による大津波で市の中心部は壊滅し、市民が生活の再建に追われる中、祭りの再開は見送られてきました。
祭りの説明会は「避難訓練」とともに開かれた

「復興のカタチ」が見え始めた「かさ上げ地」で


(俳優・村上弘明さん)
「それではアバッセたかた、まちなか広場いよいよオープンです」

 再開のきっかけは今年4月、かさ上げ地に「アバッセたかた」などの商業施設がオープンしたことです。子どもたちが喜ぶ大型の遊具を備えた、「まちなか広場」も整備され、少しずつ中心市街地らしい風景が見えてきました。

(観光物産協会あいさつ)
「復活チャオチャオ陸前高田道中踊りということで、今月の29日開催します」

 陸前高田市観光物産協会の呼びかけで先月12日、参加団体の代表が集まって、避難訓練と説明会が行われました。

(女性あいさつ)
「かさ上げ地ということでありますが、浸水域でありますので、まずは避難する方法を皆さんに覚えていただいて、団体の代表として皆さんに伝えていただきたい」

 祭りの最中に津波注意報や警報が発表された場合に備え、高台への避難路を実際に歩いて確認しました。震災後初めてとなる踊りの講習会には、市民およそ70人が参加し、「チャオチャオ陸前高田」や「高田音頭」などの踊りを熱心に練習しました。

(踊り指導者・及川セイ子さん)
「当日は高田の伝統の芸術を後世につなげるために、大いに張り切って立派にみんなで踊りましょう」

 講師の言葉に参加者の表情も引き締まります。

(参加者)
「久しぶりに楽しみましたけども、本当にこれからの復興の記念に踊りたいと思ってました、がんばって」
祭りの再開で、住民たちも笑顔に

心をひとつにする「祭りの力」


祭り当日、146世帯が住む高田町の災害公営住宅「中田団地」の集会所には、踊りに参加する住民たちが集まっていました。お隣り、大船渡市の町内会から借りたそろいの浴衣に身を包み、住民たちの表情は笑顔です。

(参加者)
「うれしいです。何にもないから下着から買ってきて。なんか思い出すね」

 団地の自治会長は、祭りに向けた踊りの練習によって生まれた、住民の変化を感じていました。

(中田団地自治会・中井力会長)
「今まで出てこなかった方も、この踊りによって出てきてくれて、交流プラザっていうのがありますが、そこにもお出でになる方が多くなったんですね。ですからそういう意味では、コミュニケーションが強まったかなと思ってます」

 中井会長は新たなコミュニティづくりが課題となる中、「心をひとつにする」祭りの力を実感していました。災害公営住宅の住民や市の職員、女性グループなど10の団体が、復興に向かうまちを盛り上げました。見物客も手拍子で踊りを応援しました。

(見物客)
「(どうだった?)楽しかった」「震災後はちょっとね、なんか暗かったんですけど、やっぱり始めればいいんじゃないですか。みんな集まってくるしね。いいと思います」

(参加者)
「懐かしいですね。団地の中からみんなで踊って良かったです」「やっぱり今まであったものを残す。これで来年またつながっていけばいいなと、心からそう思ってます」

 祭りの継承とともに、伝えなくてはならない大切なこともあります。

(陸前高田市観光物産協会・浅沼ミキ子さん)
「より高いところへという津波から逃げる、逃げなければならない場所であるということは、伝えていかなければならない」

 市民の様々な思いが詰まった祭りの再開。陸前高田市の復興がまたひとつ、前に進みました。
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