IBC岩手放送

 
震災から6年余りが経ち、ハードの整備がピークを過ぎた今、大切なのはソフト、即ち人への支援です。岩手県宮古市で若者の人材育成や定住化に取り組むNPOと、その活動を支える男性を取材しました。

今年4月。岩手県宮古市で行われた今年度最初の県政懇談会です。

(早川さん)
「自分の将来像が宮古で描けないと帰ってきたいとか、実際に帰ってくると一歩踏み出せない。こういうかっこよい大人たちがいるよとか、大人のコミュニティを作って、その高校生たちとつなぐ、大学生たちとつなぐものをできれば」

 被災地の未来を担う若者が、地元に戻って来られるようにと、達増知事に訴える1人の男性がいました。早川輝さん30歳です。早川さんは宮古のNPO法人「みやっこベース」の事務局長を務めています。市内中心部にある拠点施設は、若者向けのフリースペースとして開放され、中高生を中心に交流の場となっています。

(訪れた高校生)
「今の宮古とか、最近の学校の様子とか話すことが多い」「何かしたいと言う人たちが、ここに集まっていると思うので、何かしたいと思っている自分には、結構刺激になる場所です」

震災から6年余り経った今も、地域に根差し、地道な活動を続けています。
「復興には若い人材を育てることが必要」と語る早川輝さん

震災ボランティアとして高校生たちをサポート


(早川さん)
「6年前来た時とは全く別の街、と思えるぐらい変わっているな。ずっと昔のような感じなので、あっと言う間なのかなと」

 早川さんは福岡県北九州市出身です。留学先から日本に戻った直後、東日本大震災が発生し、2011年6月から宮古に入り、ボランティアを続けてきました。ともに活動していた高校生たちをサポートしていたことがきっかけで、みやっこベースを設立したのはそれから2年近く経ってのことでした。

(早川さん)
「人口流出が進んでいく。復興と言われるものの先に、元の街に戻ってしまうと当時から言われていたので、担い手となるのは高校時代から、一生懸命に活動して地域とつながる、知っている子たちが必要になってくると思って」

 当初は震災を経験した高校生による、交流の場としてスタートしたみやっこベース。取り組みを進める中で、交流から地域の復興へと、参加者の意欲が高まっていきます。各種活性化のアイディアを発表する「高校生プレゼン大会」や、故郷の良さを見つめ直す「地元修学旅行」などを企画し、活動の理念に共感する大人たちも増えました。おととしにはNPO法人格を取得します。
若い社会人対象のイベント開催などで若者の定住をバックアップ

被災地の未来を支える確かな力に


 先月20日、宮古のシンボル浄土ヶ浜を臨む会場に、若者たちが集まってきました。1年目から3年目の社会人を対象に、初めて開催された催し、「ルーキーズカレッジ」です。

(みやっこベース・花坂雄大理事長)
「すごい悩みが多い。学校から離れて独り立ちしていくまでには、すごく不安定な時期だと思う。今回のルーキーズカレッジは、働く意味の理解とか不安の共有であったり」

(参加者)
「私が20代で1人で、ほかの人は40代になっているので、仕事の悩みとかは話せない」

 復興需要の高まりとともに確かに今、宮古に職はあります。しかし震災前、企業の多くが採用を控えてきたことで、今の新入社員は相談できる若手の先輩が少なく、孤立感も高まってしまいます。定住を進める上で若者への就業支援、特にも職に就いてからのケアが、被災地では求められています。

(早川さん)
「早期離職してしまう姿を見ていたので、それを食い止めたい」

 参加者たちは自然に、故郷の復興へと議論を発展させていました。

(参加者)
「大自然というものは地方にしかないものなので、それが好きだという方も多分いると思う」
「大人の人と交流して街全体で楽しめる、活力ある街になっていけば良いと思う」

 子どもの学びを支えるセミナー、みやっこベースを立ち上げた早川さん。宮古に来て6年。30歳になりました。このNPOで活動した若者たちが、1人でも多く宮古に戻ってこられる環境を作り、地元で生まれ育った人たちに引継ぎたいと考えています。

(早川さん)
「色々な課題がもう先に来ている状況なので、復興のずっと先、若い人たちが限られた人たちがやるのではなく、いる若い人たち、一人ひとりが力を発揮して」

 住民に寄り添うみやっこベースの取り組み。被災地宮古で未来を支える環境作りの確かな力となっています。
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