IBC岩手放送

 
岩手県内の仮設住宅の現状を伝える「仮設住宅は今」。このシリーズは今回が50回目となりました。今回は中心市街地の再生が始まった故郷、陸前高田市で生きる女性の思いです。

10メートルかさ上げした造成地に、先月27日にオープンした「アバッセたかた」。21店舗からなる複合商業施設内の、スーパーマーケットで働いている菊池真理子さん(61)です。

(菊池さん)
「高田の町が新しいスタートを切ったわけですからうれしい。うれしく働いています」

 菊池さんは高田町にあった自宅を津波で失いました。当時、家にいた70代の母親と、20代の次女は避難して無事でしたが、市内や大船渡市に住むおばやいとこ、合わせて4人が命を落としました。建設業の夫は埼玉県に単身赴任。長女や長男は既に独立して県外で暮らしています。
自宅再建予定の場所に立つ菊池真理子さん

思い出がすべて流された町で


 元の自宅跡に案内していただきました。陸前高田で生まれ育って60年、思い出は全て流されました。

(菊池さん)
「『前がこうだった』という光景がない、全て。それが寂しい。ここが家だったとまだわかる時は来ていた。土が盛ってありますね。場所、わかりませんね、もう」

 菊池さんは仮設が撤去される今年度中に、震災前と同じ高田町内で自宅を再建する予定です。

(菊池さん)
「氷上山が前の家からも見えていたので安心しますね」

 しかし再建を予定する場所は、わずかに不安があります。震災の津波は坂のすぐ下まで来たからです。

(菊池さん)
「できればもっと高い所が安心。(それでもここにしたのは?)早く建てなきゃいけない。土地をあちこち探している時間がない」
「高田の町がどうなっていくか、それが見たい」と話す菊池さん

再生する故郷とともに


 仮設住宅では次女と4歳の孫娘の3人で暮らしています。最大94世帯がいた仮設団地は、6年経った今、10世帯を残すのみです。菊池さんは仮設住宅で暮らす人にしかわからない気持ちを、こう語ります。

(菊池さん)
「財産も全て失い身内も失くしているし、その気持ちは被災者じゃないとわからない。仮設住宅で暮らす人たちは皆、同じ大変な目に遭った人なので、今まで一生懸命助け合って生活して来られた」

 菊池さんは自宅を再建しても、それで終わりではないと言います。

(菊池さん)
「これから新しい高田の町がどうなっていくか、それがやはり見たい」

 菊池さんは再生していく故郷を見つめながら、これからも地域の人々とともに暮らしていきます。
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