IBC岩手放送

 
岩手県内で仮設住宅、またはみなし仮設住宅で暮らす人は3月末現在で1万2487人となっています。仮設住宅の現状を伝える「仮設住宅は今」。今回は花巻市での避難生活を終え、この夏ふるさとの大槌町に戻る予定のご夫婦を取材しました。その胸中は複雑なようです。

 花巻市内にある戸建のみなし仮設。震災の年の4月に大槌町から避難してきた小林渉さん、敏子さん夫婦です。部屋の一角には、小鎚神社のお札が祀られています。

(小林敏子さん)
「うちの主人は毎朝、『大槌の方向だ』と、こちらを向いて手を合わせている。ここにいても大槌の氏神様なもので『お守りください』という気持ちでおります」

 小林さん夫婦は大槌町栄町にあった自宅を津波で失いました。釜石にいる長女と、東京の長男はともに無事でしたが、渉さんの妹夫婦や、敏子さんの弟を含め、親族12人を震災で失いました。
 小林さん夫婦は大槌町本町に自宅を再建中で、7月末に完成し、お盆前には帰る予定です。大槌に戻る胸中は複雑です。

(小林渉さん)
「花巻は第二の故郷。寂しいに尽きる。今度の場所は津波が来た場所。いくらかさ上げしたと言っても、防潮堤が高くなったと言っても安全とはいえない」

 再び浸水地域で暮らす不安…。2人は津波からの避難について、ある約束をしています。

(小林敏子さん)
「『主人が家にいるから家に戻らなければ』、反対に『私が家にいるから家に戻らなければ』じゃなく、お互いに自分がいる所から安全な所に避難しよう、と。いずれ場所が違っても、避難していれば必ず会えるから」
避難先で育んだ縁を大切にしながら大槌に戻る小林さん夫妻

仮設住宅で6年 花巻が第二の故郷に


(神山リポート)
「小林さん夫婦と地域住民の交流の場の一つがこちらの公民館です」

 この日、2人が訪れると同じ自治会の人がマージャンを楽しんでいました。

(小林渉さん)
「イベントの度に楽しく話をしたり、お茶を飲んだり、交流会をやっています」

(自治会の人)
「寂しくなる。けれども寂しいとも言っていられない。我々も行こう。今度、寄る所ができた。特に釣りが好きですから」

 小林さん夫婦は、花巻で育んだ縁を大切にしながらこの夏、故郷・大槌に戻ります。
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