IBC岩手放送

 
岩手県沿岸の被災地で労働力の不足が深刻となっています。復興にも影を落とす働き手の不足。企業や行政はこの問題にどう向き合っているのでしょうか。

(釜石ベイシティホテル・長坂恵二企画室長)「もう外国人をお願いしなきゃならないのかなと」

 ハローワーク釜石で行われた地元企業による求人PRです。企業の担当者が求職者に仕事の内容や会社のことを直接、説明しました。働き手の確保につなげようと、今年度始まった取り組みです。

(ハローワーク釜石・本舘健統括職業指導官)「地元の方に地元の企業を良く知ってもらう機会が不足していた。毎週1社地元の企業をお呼びして求職者に直接PRする機会を設けています」

 岩手県沿岸地域では東日本大震災を境に働き手の不足が深刻化しています。ハローワーク釜石管内の有効求人倍率は、震災発生から2年後の2013年ごろから急激に上昇し、高止まりが続いています。この日、PRを行ったのは釜石市の中心部で被災したホテルを経営する会社です。人手不足は復興の途上にある地元企業の経営を直撃しています。

(釜石ベイシティホテル・長坂恵二企画室長)「職員が少ないためにお客様にサービスできないのが今一番苦労しています」
特に医療や介護の現場で働き手不足が深刻に

震災による人口減で「求職者」が大きく減少


 最大の原因と考えられるのが震災による人口の減少です。岩手県の推計によりますと、震災直前と比べると、先月の時点の人口減少率は釜石市で8パーセント、大槌町では24パーセントにのぼります。人手不足は求人数の増加よりも求職者数の減少によるものと、考えられるのです。
 働き手の不足が特に深刻なのが、医療や介護の仕事です。去年11月のハローワーク釜石管内の有効求人倍率では平均が1.24なのに対して看護師は5.6、介護職は2.6と、厳しい状況が表れています。
小中学校の頃から施設の仕事への理解を深めてもらい、高卒で地元採用

「特効薬はない」しかし独自の採用で人材確保も


 そんな中、新たな働き手を順調に確保している介護施設が釜石市にあります。特別養護老人ホーム「アミーガはまゆり」です。全ての従業員91人のうち7割近い60人が20代から30代の若い職員です。この施設、5年前までは毎年10人以上の離職者があり、慢性的な人手不足に悩まされていました。そこで施設は職員の採用方針を大きく転換しました。

(アミーガはまゆり・久喜眞施設長)「小学校や中学校、若い年代のうちから体験や見学を受け入れて介護事業所への理解を深めてもらって、最終的には地元に残りたい、地元で働きたいという高校生を中心に採用していく」

 地元の高校を卒業後、おととし入社した介護員の小笠原弓子さん19歳です。働きながら介護福祉士の資格取得を目指しています。

(小笠原弓子さん)「年が近い先輩もいるので仕事のことや悩んだときに相談しやすいので、やりやすい」

 さらに産休や育休を取りやすい環境作りに努めるなどした結果、年間の離職者は3人ほどに減りました。

(産休を取り、今年5月に復職する―浅間夏奈さん)「産休前は不安もあったんですが、育児をしている先輩が多く、聞いたりできるので、ここはいい職場だと思います」

 一方で、訪問型やグループホームなど規模が小さい介護施設は人手不足の解消が難しい現状にあります。

(アミーガはまゆり・久喜眞施設長)「特効薬はないと思う。それぞれの施設なり事業所が独自の対応を、将来を見据えてやっていくのが必要かと思っています」
人材マッチングにとどまらず「幅広い取り組み」が必要に

働き手の不足は被災地の復興にも影響


 釜石市は労働力を確保するため今、人材マッチング事業に力を注いでいます。中でも注目しているのは子育て世代の若い主婦層です。企業側に子育て世代が働きやすい環境作りを呼びかけ、今年度、17人の雇用が実現しました。2040年には労働力人口が現在の半分にまで減るという統計もある中で、市は人材マッチングにとどまらず、幅広い取り組みが必要と感じています。

(釜石市商工労政課・神山篤さん)「地道なマッチングを継続していくのはもちろんのことですが、労働力人口が増えないということを踏まえれば市内の事業所の生産性の向上とかそういった支援について具体的に考えていく必要があると考えています」

 被災地の復興に大きな影響を及ぼす労働力の不足に対し、官民の垣根を越えた効果的な取り組みが求められています。
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