IBC岩手放送

 
岩手県宮古市で観光をテーマに復興を目指す有志の集まりが、精力的な活動を続けています。メンバーは様々な業種で活躍する若者たち。被災地の未来を担う若者たちが、復興に向け取り組む姿を追いました。

(宮古観光創生研究会・まちづくり元気塾で…)
「もてなしであげられていたものは食べ物系が多い」「おいしいなと思ったらまた家族連れて来るわけでしょう」「カップルで撮ったものが、全部に拡散したらすごいでしょう」

 去年11月、宮古市内のとある建物の会議室です。仕事が終わった若者たちが、熱い議論を交わしています。「宮古観光創生研究会」のメンバーです。この日集まったのは水産、建設などの会社経営者や震災後立ち上げられたNPOの代表など、およそ20人。観光を突破口に被災地の復興をなし遂げようと、未来を語り合っています。

(参加者)「色々な業種の方が来ているので、普段の仕事では関わることもない人も集まっている。すごく若手同士で刺激になっています」「若い人たちの集まりというものが、他にもあまりないと思うので、色々若い人が動くことによって、新しい企画ができてくると思う」

 宮古観光創生研究会は2015年11月に発足しました。メンバーの平均年齢は31歳。行政主導ではなく知り合いが知り合いを連れてくるという、横のつながりがスタートでした。人口減少と高齢化が進む中、これだけの異業種の若手が、自分たちの力で集結したのは震災後、宮古ではほとんど例がありません。
代表の花坂さんは地元で100年以上続く印刷会社の5代目

震災・台風 二重被災を乗り越え「地域」と向き合う


(宮古観光創生研究会・花坂雄大代表)「市民一人ひとり、各業種が観光について考えながら、いっしょに作っていく、そういう時代になってきた」

 その代表を務めるのが花坂雄大さん34歳です。花坂さんは100年以上続く、印刷会社の5代目です。高校を卒業して盛岡や仙台で暮らした後10年前、家業を継ぐために宮古に戻ってきました。その当初からふるさとの未来に漠然とした不安を抱いていました。

(花坂代表)「自分の会社の経営が良くないのを、自慢して回っている人がほとんどみたいな状態だったので、すごく寂しいな、当時の私からすると希望がないように見えていた」

 そんな思いを変えるべく、具体的な行動に出たきっかけは東日本大震災でした。市役所の隣にある事務所兼印刷所は津波で全壊しました。去年の台風10号でも1階まで浸水し、いわゆる二重被災も経験しています。

(花坂代表)「辞めるのか続けるのかと考えたら、やっぱり続けたい。責任を持って取り組むようになると、今度は地域のことも、会社と地域って切っても切れないところなので、考えるようになって、この地域をどうしていこうとか、どうしていかないとならないのかというのも、考えるようになりました」
「定期フェリー航路」をどう観光振興につなげるか、活発な議論が続いた

未来を担う世代の「住民力」が芽吹き始めた


 「まちづくり元気塾」として開催された、この日の研究会の議題は、2018年春の就航を控えた、宮古・北海道室蘭間の定期フェリー航路をどう観光振興に発展させるかです。これまで接点が少なかったという、それぞれの専門分野を生かしながら、アイディアを発表しました。

(発表)「フェリーって都市と都市をつなぐと言う意味で交流が大事。例えば文化とか、宮古にはこういう文化があるよ、室蘭にはこういう文化があるよ」

 この日の会合は予定時間を超え、大いに盛り上がりました。嬉しそうに見守っていた花坂雄大代表。確かな手ごたえを感じていました。

(花坂雄大代表)「研究会を通してつながりがすごく多くて、すごくありがたいし財産になっている。学ぶ場を私たちの世代だけとは言わずに、次の世代にも譲れるように、カタチとしてしっかり仕組みを残していきたい」

 被災地の復興を目指して結集した若者たち。具体的なテーマを掘り起し提言、実行することもさることながら、その真の意義は震災から6年近くで、ようやく芽が出てきた未来を担う世代の「住民力」にあります。
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