IBC岩手放送

 
震災発生から6年を前に、岩手県が制作するドキュメンタリードラマの撮影がまもなく始まります。作られるのは2本で、このうちの1本を監督するのは、岩手を拠点に活動する双子の兄弟です。
 監督するのは岩手県北上市を拠点に、映像制作に取り組む都鳥拓也さんと、都鳥伸也さんの双子の兄弟です。11月17日には岩手県庁で制作発表会が開かれ、都鳥伸也さんは、「5年たった今、被災者が前向きになろうとしている。小さな幸せをたくさん作っていきたい。大きな幸せではなく、小さな幸せをたくさん作っていきたい。それがこの作品のテーマです」と語りました。

 このドキュメンタリードラマは、国の被災者支援総合交付金を活用して作られるもので、盛岡在住の作家、高橋克彦さんを監修に据えて原作を公募。75の応募作品の中から、「日本一ちいさな本屋」と「冬のホタル」が選ばれました。

 出演者も公募で主演は、「日本一ちいさな本屋」が、宮古出身で東京在住の女優、太田いず帆さん。「冬のホタル」が盛岡の会社員、刈屋真優さんに決まりました。「冬のホタル」は東京在住の主人公が、被災し亡くなった父親に思いを寄せるストーリーです。
弟が監督、兄が撮影

「地方から全国に負けないレベルのものを発信したい」


 これを監督するのが都鳥さん兄弟。幼い頃から映画に夢中だった2人。神奈川県にある「日本映画学校」、現在の「日本映画大学」を卒業し、プロデューサーとして、また監督やカメラマンとして、ふるさと岩手の医療や福祉をテーマにした、誠実な作品を世に送り出してきました。

 伸也さんは「地方に住んでいても、全国に負けないレベルのものを作って、情報発信していけるということを伝えたい」と語ります。

 今は主に弟の伸也さんが監督を。兄の拓也さんが撮影と編集を担当しています。

 伸也さんは「兄に任せるとみっちり打ち合わせしなくても、イメージ通りのものを撮ってきてくれる」と語り、兄の拓也さんも「兄弟なので、弟がやってることをフォローする。育ちがそうなので」と語ります。

 そして「兄弟だから作品に対しての揉め事が、長い時間できるのはいいこと。両親には喧嘩に見えるらしい」と言います。「地域の文化に根ざした映画の発信」を目指し、ともに歩んできた2人。東日本大震災が起きたのは、念願の製作会社を立ちあげて、まだ間もない頃でした。配給を予定していた映画の上映会も、中止を余儀なくされました。伸也さんは「自分たちは震災後、やることがなくなり仕事を見つめ直した」といいます。自分たちはなぜ、何のために映画をつくるのか…。改めて自問自答しながら、都鳥さんはメガホンをとります。伸也さんは「冬のホタル」について、「重たく辛い映画ではなく、未来に向かって前を向けるような作品を作りたい」と話していました。
地元の人もエキストラで参加

「前向きの姿を記録として残したい」


 11月14日のロケハンの日、都鳥さんたちが撮影の下見に訪れたのは、大船渡の理髪店でした。ご主人の佐々木俊夫さんは、実は「冬のホタル」の原作者。作品は家族を失った友人を思い、書き上げたといいます。佐々木さんは「とても辛い思いをしている人がいまだに多い。亡くなっても大好きだった人は、自分のそばにいるということを伝えたかった」と語りました。ドキュメンタリードラマ「冬のホタル」のクランクインは12月8日。地元の人もエキストラとして参加します。伸也さんは「大災害の中で、傷ついた人たちが前向きになっている姿を、映画の中で記録として残していきたい」と抱負を語り、兄の拓也さんは「完成した作品だけではなく、メイキングも含めて一つのプロジェクトだなと感じている」と話していました。震災発生から6年を迎える、被災地の心の機微をどう描き、全国に向け発信していくのか。ドラマは2017年2月下旬から3月、テレビ、そしてインターネットで公開されます。