貝の名前はエゾイシカゲガイ。 養殖漁家の思いを取材しました。

7月2日、漁協に届いた白い発泡スチロールが次々とトラックに積み込まれていました。中身は震災後初出荷となる「エゾイシカゲガイ」です。
戸羽陸前高田市長や広田湾漁協の職員などおよそ30人が参加しての出発式を万感の思いで迎えた人がいます。
「ついに震災後初の出荷というこの日を迎えることができました」生産者を代表してあいさつした、小泉豊太郎さん66歳です。
「ますます業者さんと一緒になってブランド化を狙っていきたいな と思っています」
殻から「足」を勢い良く出して跳ね回るエゾイシカゲガイはトリ貝に似た二枚貝で、市場では石垣貝とも呼ばれます。クリーム色の弾力のある身はかめばかむほど甘く、関東を中心に料亭やすし店で提供されています。広田湾漁協は1996年に養殖を始め、震災前、2010年の出荷量は日本一となるおよそ38トンまで拡大していました。

そのエゾイシカゲガイの養殖に最初に取り組んだのが、小泉さん。震災で施設を失いましたが、再開を決心しました。

「若い人たちがやるというような意気込みだったので、最初にやった俺が手を引いたんじゃうまくないかなと思って。じゃ、やろうということでみんなして」
津波から3年あまり。エゾイシカゲガイはようやく出荷できる5.5センチ以上に育ちました。小泉さんは妻の美和子さんらと6人で水揚げ作業を行っています。
エゾイシカゲガイは、砂を入れた直径50センチほどの容器の中で育てます。出荷前にはいったん海から出して貝を洗い、新しい砂を入れた容器に戻すなど、小泉さんは品質を高めるための努力を惜しみません。
洗う時に出る砂には稚貝が含まれているので、砂と稚貝を丁寧により分け、その稚貝をまた出荷サイズになるまで育てます。

『待ってるからな、待ってるからな』っていう言葉が聞こえる。

出荷再開の日、早朝から箱詰め作業を行う小泉さんたちの表情は輝いていました。
「みなさんやっぱ『待ってるからな、待ってるからな』っていうその言葉がね聞こえてきましたんで。やっぱり頑張らなきゃなって」震災前の日常に一歩近づいたエゾイシカゲガイの養殖漁家たち。小泉さんはさらに一歩先を見つめています。
「まず市場では期待感を持って取り扱ってもらってますし、あとは岩手県と陸前高田市の後押しがあってできればブランド化、陸前高田って言えばイシカゲっていう感じのもので作っていけたらなと」
陸前高田のブランド貝としてしっかりとした地位を築き上げたいー
小泉さんの新たな挑戦が始まりました。
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