釜石市に再び、市民の心を癒すホールを!と奮闘する音楽家がいます。

釜石市の仮設商店街の一室から、歌声が聞こえてきました。この店は音楽家の山﨑眞行さん、詔子さんご夫妻が営む宝飾店です。山﨑さんは震災で、店も、音楽教室を開いていた自宅も全て失いました。
 しかし、昨年9月に仮設店舗での営業を再開すると、「また震災前のように音楽を教えてほしい」という希望者が訪れるようになり、今はこうして仮設店舗でコーラスを教えています。
震災前、山﨑さんをはじめ、釜石で音楽や芸能を愛する人たちの発表の場の中心が、釜石市民文化会館でした。山﨑さんの音楽教室も毎年秋には、大ホールを会場に生徒たちの発表会を開いていました。
 しかし会館は津波で被災。地震による建物への被害もあり、取壊しが決まっています。
「あっ電気ついてる、いやぁ・・こんなになっちゃったんだ・・」特別の許しを得て震災後、大ホールに初めて入りました。椅子が全て取り払われ、がらんとした空間には、いまだにヘドロの匂いが漂います。
 「我々もこのホールに育てられたということがありますよね。このホールが無かったら、ここまでこれたかなって感じがします。」

釜石市は市民文化会館の再建支援を国に要望していますが、工事着工の時期は早くても5年後、それ以外の具体的な計画はまだ示されてはいません。

そんな中、山﨑さんは音楽仲間や市民有志らとNPOを組織して、傷ついた心を音楽で癒す、多目的ホールの再建計画に乗り出しました。
山﨑さんを動かしたのは、避難所での演奏で強く感じた音楽の力でした。
「去年、僕も避難所いたけど、避難所回って、最後にみんなで歌いましょうねっていうと、必ずみんな泣かれるでしょ。そうすると、自分も泣いてるんですよ。何だろうなこの気持ちって、あ、そうか、音楽って人の心をつなげるんだ、このことってすごく大切なことなんだって、そのとき感じました」

6月からNPOの設立に向けた準備を始めた山﨑さん。

いよいよこの日、釜石市から認証を受けることになりました。
震災後市内では7番目、芸術文化では市内初のNPOです。ホールには釜石ゆかりの作家・井上ひさしに関わる未公開の資料などを展示する記念館を併設する計画です。
ガバチョ・プロジェクトと名づけられたNPOは、コンサート活動やインターネットを通じて、国の内外に広く寄付や賛同者を募り、ホール建設のための資金確保を目指します。
とはいえホールの場所も形もすべて未定。何より建設には多額の資金が必要で、その目処は全く立っていないのが実情です。それでも山﨑さんは子供たちのために全力を尽くしたいと話します。

「子供たちを育てる義務があるんです我々には、精神的にですよ。」(山﨑さん)

「そのためには何も惜しまないでやります。物質的じゃないことですけども文化を育てるのに私なりに出来ることを全力を賭してね、全力でいきたいなって思っています」
当面は山﨑さんが公演などで得た収入を元に活動し、全国にも寄付を呼びかけていくということですが、文化の発表の場の存在は、子どもたちはもちろん、大人にとっても、復興に向かう大きな原動力となると思います。
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